内田絵梨
駅員さんの指差喚呼(しさかんこ)ってなんか良いですよね。
目で見て確認して、指をさして、大きな声で「○○、ヨシ!」
クーッ! かっこいい!
広島大学大学院保険学研究科の研究によると、この作業をすることによって前頭葉の血流が増加して注意力・集中力が上がっていることが確認できたとか。
ヒューマンエラーを防ぐのにとっても有用な方法なんですね。
さて、指差喚呼という漢字からも分かるように、「指をさす」は漢字では「差す」が広く使われています。
しかしながら指でさし示すことは「指す」という字を使うような……。
これはいったいどういうことなのでしょう?
指を指す
実際に「指を指す」書いてみると、「頭痛が痛い」というような誤用感、くどさがありませすね。
「ひとさしゆび」も「人指し指」と書くと目がすべる気がします。
指すの字義は「ゆびさす・指名する・目指す」です。
「ゆびさす」という字義からは「指を指す」と書いても間違いではありませんが、「ひにち」を「日にち」と書くように、重複は避けた方がよいのかもしれません。
うがち過ぎた見方をすると、「指を指す」は「指を指さす」とも言えますね。
「指を指す」という表現は避けた方がよさそうなことは分かりました。
では、なぜ「差す」という漢字を使うのでしょうか?
指を差す
「差す」の字義は「あるものが表面に現れること・あるものが生じること・かざすこと」です。
頰に赤みが差すだとか、魔が差す、傘を差す、などに使います。
ただ、「差す」はそれ以外にも広く使われています。
射す:光があたること。(西日が射す)
注す:液体を注ぎいれること。(水を注す)
点す:少し垂らすこと。(目薬を点す)
鎖す:門や戸などを閉めること。(門を鎖す)
これらの言葉はいずれも表外音訓(常用漢字表にない読み方)のため「差す」に書き換えることができます。
書き方に迷ったら「差す」が一般的に使われているため、「指をさす」も「指を差す」と書かれることが多いのでしょう。
小学校中学年で習う字にこれほどまでに悩まされるとは……。
ひらがなの偉大さが身に沁みます。
おまけ
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