植村明美
未完走の感想~原田社長~
東京マラソンから3週間が経とうとしています。
完走したれい子さんの感想を既にお届いたしましたが、今回は、予想以上の力走を見せてくれた原田社長にインタビューし、現在の心境をお聞きしました。
題して未完走の感想です。
――社長、東京マラソンお疲れ様でございました。まずは今の心境をお聞かせください。
そうですね。完走していないですからね、僕はドライじゃないということですよね。
――???
あ、完走と乾燥、dryね。ここウケてもらうところなんですけど(笑)
――あ、失礼しました。全く意味理解していなかったです(汗)
未完走の感想のインタビュー。そこにはそこはかとなき哀愁とどことなく重たい空気が漂います。
――来年も出場されるというのは本当ですか? というか、来年また当たるんでしょうか。
当たりますよ。僕10万円払いますから。
――あ! あー、その手がありましたね。
注:東京マラソンにはチャリティランナー枠がある。自分が選んだ寄付先団体に対して10万円以上の寄付をして出走することで、チャリティ活動の素晴らしさを発信。寄付金は自ら拠出しても、クラウドファンディングを通じ支援を呼びかけることも可能。
僕の東京マラソンは終わっていませんから(きっぱり)
――それは相当悔しいというか……
あのね、解放された感じも筋肉痛も喜びも0、ゼロなんですよ。
そうはいっても26kmでも走ったから、多少は筋肉痛もあるんです。けれどそれは完走してたら痛いとか言えるけど、していないとやっぱり言えない。
――なんかわかる気がします。やはり来年絶対に応募したくないです……(笑)
東京マラソンへの道
――当選した時のお話に遡りますが、当たると思われていましたか? というか、れい子さんがインタビューで「あれは社長がわたし1人だと可哀そうに思ってくれて飛び込んでくれたのでは?」と言っていましたがそうだったのですか?
うん、決して僕がというのではなくて、誰かが当たってくれるだろうというね。1人きりでは走らせないというスタンスは去年と同じ。
僕も含めた数人でスマイルランナー応募して、まあ、去年河口さんは当たっているから、応募した時点で、もしその枠で当たるとしたら自分だなという覚悟というか、嫌な予感はしてました。
――一般の枠では当たっていなくて、その時はこの笑顔でしたが、その後、FBの原田社長の投稿に一同騒然となりました。
僕ね、FBそんなに投稿しないんですよ。だけどあのときは思わず投稿しましたよね。当選通知、フィリピンに出張する日本飛び立つ前の成田で見てしまったんですよ。ウソだろう? ちょっと意味がわからないって(笑)
――そのときのFBのコメント88もついていましたよね。末広がりでいい感じですね。
本当にありがたいですね。皆さまに支えていただいて。
当選してからはね、あっという間に知れ渡りまして。そして当選してあ~どうしようとか、そういう事が言えなくなってくるんです。発言統制的な。
結構皆さん、東京マラソンにエントリーしてらっしゃるんですよね。外れた方は本当に落胆しているのに、当たったことを嫌がってられる雰囲気では無いんですよね。だったら応募すんなよという。そりゃあ思いますよね。
そしてどんどん追い込まれていくんです。それは自分の自信の無さからくる言動なんですが、お前は自信が無いからそう言っているんだよねとは認めてくれない。世界はそんなに優しくないと思いました(笑)
それで、じゃあ走るかと。
――いよいよ腹をくくられたわけですね。
昔の自分を知っている地元の……大牟田の友人達が1番びっくりしたんじゃないですかね。あいつが走れるわけがないと。
それからは、社長は社員が驚くほど真面目に練習してきました。
きちんと練習日を決めて昼休みや終業後に走ったり。
駅伝に出場したり。
当初は1km走るのもやっとだったのが、秋が深まる頃にはタイムやペース配分を気にしながら走るほどに。
練習後のお楽しみは信濃屋さんのやきとりでのたんぱく質補給。
練習のあとのやきとりはおやくそくのお楽しみでもありました。
10km、20kmと距離を伸ばして大会にも出場し、完走を果たしてきました。
マクドナルドのスマイルランナー練習会にもちゃんと参加。
そしていよいよ本番。2月25日の朝を迎えました。
当日の記憶
――社長が朝起きられるのかも皆心配していましたが、とにかくスタートされてまずほっとしていました。
敗因はね。トイレに行けなかったことじゃないかと。僕は毎日快調なんですけど、当日いつもより早く起きて準備したので、やはりリズムがいつもと狂ってたんでしょうね。トイレ行けなかったんですよ。そしたらなんか腰が痛くなっちゃった。
――トト、トイレですか。それはまさしく大・問題!
――れい子さんのリクエストだったかんぴょう巻きは役に立ったんでしょうか。
うん。ご飯が欲しいよね、と山田さんと話していたんですけどね。やっぱりご飯美味しかった。
走っている間飲み物には不自由しないんですけどね、門前仲町でみかんの皮が散乱しているのを見て、これ、みかんの皮じゃんて。
え? 出るんだ、食べ物って思ったんですけど、1回も見れなかったの、東京マラソンで。あれ、速い人は食べものがあるんだよね。遅いと何も残っていないの。テーブルがあるだけ。
あとね、チップスター忘れちゃったんだよねえ。
――走っている最中はどんなことを考えていらしたんですか?
えーとね、色々妄想してましたよ。暇なんですよ、走ってると。あのね、お菓子とか用意してくれてる沿道の人見て、この中にテロリストいたらどうなるんだろうとか。
せっかく厚意で用意してくれてる人を見てそんな妄想していたことを恥じています…。
あとは細巻き、美味しかったんですけど、喉に詰まらせたらどうしようとか。
グリコ持ってたんですけど、食べてみて、キャラメル堅いなあとか…。
1本歯の下駄の人がいましたけど、神ですよね。仮装しないのかという人がいましたけど、仮装っていうのは、普通の格好だったら超速でゴールできるような人がああしてやるもんですよね。
リタイアが決まったとき
――関門を通過できなかった時のお気持ちはどうだったのでしょう。
あとちょっとっていうところで「原田さん走って~! 急いで~っ」て応援して走ってくれたヒールの女の子に追いつけないの。余力が無いので全くダッシュできなかった。
その前、浅草橋まであと2kmという所があって、そこで時計見たら残り15分なんですよ。でも大体1km9分で走っているので18分かかるわけでしょ? もう無理や思って、そこで一旦立ち止まって「もうあかん」てLINEしたんですよ。
でも限界まで走ろうと思って。結局だめではあったけどあと残り20mのところでアウトと言われたわけ。
それってその間は自分1km8分かからないで7分台で走れてるってことでしょ?
で、思いましたよ。
走り終えて
次回への意気込み
来年はデータマラソンだと!
――データマラソン……。
やっぱり知り合いの顔を見ると元気が出るんですよ。頑張ろう! っていうね。だから、来年は50m毎に知り合いの顔が見られる環境を作ればいいとわかりました。そうすると42.195kmだから844人に50mおきに立っていてもらえばいいわけ。だから次はデータマラソンだから。来年までに友達沢山作ります!
――ちょっと何かが違う気はしますが……。既にお友達は沢山いらっしゃるとは思いますが、そうすると毎日2~3人新たなお友達作っていく計算ですね。
うん。あれから既に男性は5~6人、女性は3人くらいお友達になって、来年は応援に来てと声かけたから。
で、アウトになったのが13時20分だったんだけど、友達が来てくれてたから、浅草橋の関門の10m手前の飲み屋にそのまま行って。
――社長が関門通過できなかったというニュースに社員の間で動揺が広がりましたが、このビールを飲む様子を何かで見た社員達からは「あの関門にある収容車(ハトバス)の中ではビールが出るらしい」という間違った情報が出るほどすぐ飲み会に突入してらっしゃいましたよね。
でもさすがにいつもより飲めなかったよね。皆が有楽町で集まってくれてるから、4時頃一度抜けて、その後また戻って3件か4件行って12時には五反田でマッサージして帰りました。
――それでもいつもよりは……なんですね(笑)
結果、マラソンで走った時間より、飲んだ時間がマラソンだった(笑)
その日は自暴自棄からくる飲酒ですから(笑)何かから逃げだしたい。1人にしないで! っていう。周りのお友達がね、それを感じとってくれたんですよね。
あのね、ボクサーも試合のあとは絶対周りの人が1人にしないんですよ。何か不測の事態があるといけないからね。
――そうなんですね。でも、ちょっとボクサーの例えは違う気がしますが……。
あ、そうだ。あのクスリさえ持っていればなあ……(遠い目)
――く、クスリ?
そう。クスリ(注:法的に危ないお薬ではありません)心拍数を下げる薬とあとひとつ。今回もロキソニンは持って行ってたんですけどね、他にも色々道具を駆使したい。
――ん~、どうも何かが違う気がします……。
れい子さんへの感想
――一緒に走って完走したれい子さんのことは今どう感じていらっしゃいますか。
スーパーマンだなと思いました。
前の週登山行ってたんでしょう? 人生における差をつけられるってこんな感じなのかなと。
決して遠い存在ではない人と思っていたらすごく距離を引き離されていた、みたいな。もう尊敬の念だけですよ。
――次回も出場するというお気持ちは揺らいでいないということですね。ジムでのトレーニングや走る練習も続くということでしょうか。
そうですよ。僕の東京マラソンは終わってませんから。
体脂肪9%を目指します!
社長、お忙しい中インタビューに応じていただきありがとうございました!
ということで、次回出場の意思は想像していたより固く、原田社長の東京マラソンへの道は続いているのでした。
頑張れ原田社長。東京マラソンまで、あと355日!