植村明美
消費税が5%から8%になったのは2014年4月。実に17年ぶりの消費税の増税でした。
が、この8%の増税は消費税10%への通過点に過ぎず、元々2017年4月には10%に引き上げられるはずだったものが景気の冷え込みなどにより延期を重ねていましたが、ついに来年2019年(平成31年)10月より10%に引き上げられるのです。
今まで本体価格100円の商品は消費税込みの場合108円でしたが、来年10月からは110円必要となります。
これが100万円の商品ともなると110万円の支払いになります。
ただし、所得の低い世帯ほど負担率は増加するため、一部の商品については軽減税率が適用され消費税率8%のままになります。
何が10%となり何が8%のままなのかを確認するとともに、どんな混乱が予想されるかなど調べてみました。
軽減税率の対象品目には、「酒類」「外食」「ケータリング・出張料理等」を除く飲料食品、定期購読の契約をした週2回以上発行される新聞とすることが盛りこまれています。
酒類というのはまあわかるとして、外食、ケータリング・出張料理というのが曲者です。
8%のままの食品としては「生鮮食品」「加工食品」となっており、「宅配」「テイクアウト」は8%のもままなのに対し、ケータリングは10%です。
まずここで疑問が湧きましたのは、宅配とケータリングって同じじゃないの? ということです。
ケータリングと宅配の違いは何か調べたところ、
宅配 ピザの出前、蕎麦屋の出前など飲食物を単にそのまま自宅等に運んでもらうこと。
ケータリング 飲食を指定の場所に運ぶだけでなく、調理や給仕等のサービスも伴われる。
外食 その場で飲食するための設備のある場所で食べること。
はい。ちょっとわかってきました。
しかし、ここでまたやっかいな線引きがありまして
フードコートでの飲食は外食ですが屋台で食べると外食ではないのだそうです。う~ん。わかったようなわからないような。
お蕎麦の出前やハンバーガーなどのテイクアウトは8%、コンビニのお弁当などは8%ですが、これをコンビニのイートインコーナーで食べたら10%。
ハンバーガーやコーヒーも持ち帰ろうと思って気がかわり席についたらどうなるのでしょうという問題があります。
店内で食べるつもりなのに故意に税率のために会計時にテイクアウトと申告する人も中にはいるかもしれませんが、持ち帰ろうと思ったけれどやはりここで食べちゃおうかとか、反対に店内で食べたかったけれどあまりに混雑しているからテイクアウトしようという状況はありそうなので、ファストフード店などでは対応に混乱する場面も出てきそうです。
また、お菓子は食品なので8%ですがおもちゃ類は10%。おまけ付きお菓子はどうなのかというと8%。
コーヒーカップ付きのコーヒーのギフトセットも8%と、線引きは決まってはいるものの、難しいところがあります。
消費者にとっても分かりにくく当面混乱も予想されますが、お店や事業所にとっても大変です。
顧客から、買った商品の税率について質問を受けることも想定されますし、請求書や領収書を発行する際、違う税率の商品を扱っている場合それを分けて記載しなくてはなりません。従業員も8%の税率の商品とそれ以外をきちんと認知する必要があります
対応するPOSレジの導入などお金がかかることも予想されますのでこれに伴う補助金の申請期限が2019年12月16日まで延長されました。
レジだけでなく、税金の申告の際も軽減税率が適用される売上(仕入)と標準税率が適用される売上(仕入)をそれぞれ集計し、区分して記帳する必要があります。
軽減税率の導入に際し、適正な課税を確保するという観点から適確請求書等保存方式が導入されますが、経過措置として平成31年10月から4年間は簡素な方法である区分記載請求書等保存方式及び税額計算の特例が適用されます。
消費者もお店側も、とにかく慣れるまでは困惑することも多そうな今回の消費税増税ですが、来年10月は刻一刻と近づいてきます。
事業者の方も消費者も今から色々と勉強し備えていければいいのかなと思います。
出典・参考