内田絵梨
テーブルゲームから生まれた言葉、第三段は囲碁です!
五目並べしかやったことがない私ですが、小学生の頃に囲碁漫画(アニメ)がはやったこともあり、本来の囲碁は黒と白の碁石を使って陣取り合戦をすることは理解しております。
碁石の黒石は直径7分3厘(22.2mm)、白石は7分2厘(21.9mm)で若干黒石の方が大きいそうです。しかしながら、白い色は膨張色でやや大きく見えるため、人間の目には同じ大きさで見えるとか。目の錯覚ってすごい!
それでは、囲碁から生まれ、私たちが日常的に使っている言葉をみていきましょう。
駄目
これは皆様も良く使われる日常用語ではないでしょうか?
「良くない状態」や「できないこと」「してはいけないこと」に対して使う言葉です。
囲碁の駄目は「両者の境にあってどちらの所有にもならない、打つ価値のない目」を指します。目は碁石を置く場所(縦横の直線の交差点)のことです。
「打つ価値のない場所」という意味が日常用語の駄目に繋がっているのですね。
ちなみに、念のため駄目を碁石で埋めて、両者の陣地を分かりやすくすることを「駄目押し」と言います。
こちらも日常的に「念のためもう一度確かめておくこと」として使われますね。
一目置く(いちもくおく)
一目置くは「自分より相手が優れていることを認め、経緯を払うこと」を言います。
強調して「一目も二目も置く」と言ったりもします。
囲碁では対戦者同士に実力差がある場合、ハンデとして弱い方があらかじめ碁盤に石を置いて対局することがあります。置き碁と呼ばれるハンデ戦です。
囲碁は通常、黒が先手と決まっているのですが、置き碁は白が先手。
一目置いただけでは通常の碁と変わらないため、置き碁では弱い方が対戦が始まる前に二目以上の碁石を置きます。
「一目置く」はこの置き碁から生まれた言葉ですが、本来は二目以上置かないといけないのが面白いですね。
もしかしたら、一目置いた後に、通常の碁のように黒が先手で対局していると勘違いしてしまったことから始まった言葉かもしれませんね。
白黒つける
白黒つけるは「物事の是非・善悪・真偽などを決める、決着をつける」ときに使う言葉です。黒白(こくびゃく)をつけるとも言いますね。
みなさんご存知の通り、囲碁は黒石と白石で勝負をつけます。
そこから生まれた言葉なのです。
布石
布石は「将来に備えて、あらかじめ整えておく手はず」を指します。
「布石を打つ」という言い方が一般的です。
囲碁用語では「対局の序盤での要所要所への石の配置」を言います。
石は「碁石」、布は「配置すること」を意味しています。
これからどういう風に打ち進めていくかの土台作りが、「将来のための準備」という意味に転じたのですね。
捨石
捨石には様々な意味がありますが、「将来、または大きな目的のために、その場では無用とも見える物事を行うこと」や「大きな目的を達成するために見捨ててしまう事柄」という意味は囲碁由来のものです。
囲碁の捨石は「自分の形成を有利に導くために、あえて相手に取らせるように打つ石」を言います。
勝利を得るためには小さな犠牲も払わなくてはならないのが囲碁なのですね。
目論見(もくろみ)
目論見とは「物事をしようとして考えをめぐらすこと」を表します。
動詞で「もくろむ」とも言いますね。
囲碁の目論見は「対局中に目を計算すること」を指します。
目論見の「目」はもちろん碁盤の目のこと。
似た言葉で「目算」という言葉もありますが、こちらも、「自分と相手の地を数えて形勢を判断すること」を言います。
日常生活でも目論見と同じ意味で目算を使ったりしますね。
八百長
八百長は「真剣に勝負を争うように見せかけ、実は前もって約束しておいた通りに結末をつけること」です。
実はこの言葉も囲碁が由来の言葉。
明治時代のお話です。
八百屋の店主『長兵衛(ちょうべえ)』は、相撲の年寄『伊勢海五太夫(いせのうみごだゆう)』と囲碁仲間でありました。
碁の実力は長兵衛の方が勝っていましたが、八百屋の商品を買ってもらいたい! そんな打算から、長兵衛はわざと負けたりして伊勢海五太夫の機嫌をとっておりました。
しかしながら、あるとき、碁会所開きの来賓として招かれていた本因坊秀元と互角の勝負をしたため、周囲に長兵衛の実力が知れ渡ります。
八百屋の長兵衛はその通称を「八百長(やおちょう)」といったために、真剣に争っているようにみせながら、事前に示し合せたとおりの勝負をつけることを八百長と呼ぶようになったそうです。
いかがでしたか?
「これ、囲碁由来の言葉だったの?!」というような意外な言葉はありましたでしょうか?
次回は花札から生まれた言葉をご紹介します。
おまけ
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参考:デジタル大辞林 / 語源由来辞典 / 実用日本語表現辞典