TOP / 言葉 2019.03.20

左様とright! なぜ肯定が左と右?!

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左右

時代劇なんかを見ていると、いかにも物知りそうで威厳のあるおじいさんが「左様」とか言って前に述べられたことを「そのとおり」と肯定するシーンがありますよね。
この「左様」、なぜ「左」という漢字を使うのでしょうか?
また、英語のrightも同様に肯定を示すシーンで使われることがあります。しかしながらrightは「右」の意味も持っている。これってどういうことなのでしょうか?
左なの? 右なの? どっちなの!?

日本語の左様

そもそも日本語の文章は古来より縦書きで、右から左に書いていきます。
そのことを踏まえると、前に述べたこと(右に書いたこと)を肯定する際には「右様」という言葉を使いそうなものではありませんか?
なぜ、左様なのでしょうか?

左様を辞書で調べてみましょう。

さ-よう[-ヤウ]【然様/左様】
1. [形動][文][ナリ]そのよう。そのとおり。
2. [感]相手の言ったことを肯定したり、自分の思い出したことにうなずいて話し出したりするときに発する言葉。そう。
デジタル大辞泉より

「さよう」の書き方に「然様」と「左様」があるのが分かります。
「さよう」は元々は「然様」と書きました。
読んで字のごとく、「然る(しかる)様」。「そうある様」という意味です。
そして実は「左様」は「然様」の当て字です。
醤油を正油と書くことがあるように、然様を左様と書く人が増え、それが一般化したのです。

英語のright

対するrightはどうでしょうか?
翻訳家・通訳者集団EDP(Electronic Dictionary Project)が編纂している「英辞郎」にはこんな説明が載っています。

right
(中略)
【形】
1. 右の、右手の、右側の、右方の
2. 〔事実に即して〕正しい、合っている◆【語源】人間は心臓の反対側にある手をよく使うところから、その手を使うことが正しいとされた。
(後略)

どうやら右利きが多いことから、「右=正しい」という認識になったようです。
また、2000年の英語のセンター試験を見てみましょう。

The ancient Romans believed that the right side of the body was the good side, while the left side held evil spirits. Their word for “right”, dexter, gave us dexterous, which means “skillful”, whereas their word for “left”, sinister, means “evil” or “wicked”. This may have created negative attitudes toward left-handedness.

つたないながら和訳してみますと


古代ローマ人は体の右側を良い面と信じ、一方で体の左側に邪悪なものが宿ると信じていました。ローマ人の言葉では「right」をdexterと言いました。そのdexterから派生した言葉であるdexterousは「skillfull」、つまり「器用」という意味を持っています。対して、「left」にあたる言葉をsinisterと言い、この言葉は「evil(邪悪)」や「wicked(不道徳)」という意味を持っています。これは左利きに対してネガティブなイメージを作りだしてしまったかもしれません。


どうやら、古代ローマ人も右を善、左を悪ととらえていたようです。
そういえば、インドでは右手でご飯を食べ、左手を不浄の手としていますね。
どの世界でも、右は良いもの、左は悪いものとなんとなく感じているのかもしれません。

「あれ? じゃあ、日本は?」という問いが聞こえてきそうなので補足しますと、「左様」を「さよう」と読まずに「ひだりざま」と読むことがあります。伊勢物語などに出てくる言葉なのですが、この言葉の意味は「正しいことに反すること」です。

ひだりざま【左様】
(名・形動ナリ)
正しい道に反する・こと(さま)。左道(さどう)。
三省堂 大辞林より

さらに、この説明文に出てくる左道を調べてみると

さ-とう[-タウ]【左道】
〔「さどう」とも。中国、戦国時代に、右を尊く、正しいとしたことから〕
1. 正しくない道。邪道。
2. 不都合であること。不謹慎なこと。
3. わずかであること。粗末であること。謙遜していう語。
三省堂 大辞林より

日本でも右を尊く、左を悪くとらえていたようです。
洋の東西を問わず、共通した考えであるのは興味深いですね。

おまけ

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参考:おもしろい語源辞典

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