植村明美
グッドクロスの入居するビルの1Fには大きなドラッグストアがあります。
こちらでも、御多分に漏れず、コロナ感染の影響でずっとこの紙が掲げられています。
さて、ここで新たな疑問が生じました。
これって「張り紙」? それとも「貼り紙」でしょうか。
ウエムラはペタっと糊で貼るものは全て「貼り紙」だと思っていたのですがどうなんでしょう。
調べてみました。
まず、漢字の持つ意味を検証してみます。
「貼」
借金のかたにおく。抵当にする。
はりつける、はる。
つく。はりつく。よりつく。くっつく。
薬の包みを数える助数詞。
(漢字辞典オンラインより)
小学生の時に、昔は貨幣の代わりは貝だったのでお金に関する文字には貝へんが付くと習いました。この文字は貝へんに占めるということで、抵当とか担保という意味も持ちます。
それに関連してか、薬の包みを数える用語で一貼(ちょう)、二貼という数え方があるそうです。
これが「貼る」となるとどういう意味になるかといいますと、糊などでべったりと間にすき間を作ることなくくっつけることを指します。
昔は粘性のある薬は貝殻でできた容器に入っていたらしく、それでこの漢字が使われているということです。
一方の「張る」でありますが、こちらはたるまずにぴんとする、横に広がり伸ばす、意見などを大いに打ち出すという意味があるようです。
こちらも漢字の意味から調べていきましょう。
「張」
はる。弓に弦をはる。
楽器に弦をはる。
のばす、ひっぱる。
ひろげる。大きく広げる。
もよおす。
腹がはる。ふくれる。意見などを大いに打ち出す。
(小学館 大辞泉)
(漢字漢字辞典オンライン)
横に広がりのびる。
そして「張る」の意味といいますと
広がりのびる。「根が張る」
のばし広げる。「テントを張る」
大きく見せようとしてふくらせる。「胸を張る」
一面におおう。「池に氷が張る」
いっぱいにする。
のりなどでくっつける。「びらを張る」(貼るとも書く)
板などを平らに並べて打ちつける。「羽目を張る」(貼るとも書く)
「のりなどでくっつける」こと、「板などを並べて打ちつける」ことは「貼る」とも書くとあります。
これは「張る」でも「貼る」でもどちらでも良いということなのでしょうか。
ここで、この漢字2文字の大きな違いを見つけました。
「張」はずっと変わらず常用漢字でありますが、「貼」は長いこと常用漢字ではなく、最近になって常用漢字に加えられた漢字です。
そのため、新聞社の記者ハンドブックなどでは、全て「張る」を使う、どちらか迷ったら「張る」でいくということになっています。
「貼る」はのりなどを付けて付着させること。糊などで壁面などとべったりと隙間なく密着させて付着する時に使うと決まっていたのに、常用漢字でなかった為に、「貼る」を使うことができず、「張る」となっていたこともあったようです。
切手は「貼る」。ポスターを糊で「貼る」。そしてタイルなどを敷き詰めるときは「張る」「貼る」どちらでもOKということになりそうです。
「張り紙」「貼り紙」どちらを使っても正しいですが、使い分けを敢えてするのであれば
「貼り紙」は糊類を使って壁などに貼られた紙を指し、「張り紙」は主張や言いたいことを示すために掲示する紙、と言えそうです。
ちなみに、「いらすとや」さんからお借りしたこちらのイラストのタイトルは、「張り紙が貼られた掲示板のイラスト」となっていました。
さいごに
グッドクロスの運営するコールセンターテルトルでは言葉を大切に扱っております
出典、引用
goo辞典
張る
漢字辞典オンライン
張
https://kanji.jitenon.jp/kanjib/773.html
貼
https://kanji.jitenon.jp/kanjie/2060.html