内田絵梨
さ入れ言葉をご存知ですか?
助動詞の「せる」「させる」は謙譲語「いただく」と一緒に使うことによって「何かをさせていただく」という謙虚な姿勢を表現できます。
丁寧な表現を使おうとして、本来「○○せていただく」とするところを「○○させていただく」と言ってしまうのが「さ入れ言葉」です。
「それでは、歌わさせていただきます」
何か違和感を覚えませんか?
敬語を使っていて、自分で自分が何を言っているか分からない状態に陥ったときはもしかしたら「さ入れ言葉」を使っているかもしれません。
さ入れ言葉の見分け方
さ入れ言葉を避けるには、活用の未然形「ない」で考えましょう。
「○○せていただく」
「○○せていただく」と表現するのは五段活用動詞です。
つまり、五段活用動詞に「さ」を付けてしまうのが「さ入れ言葉」なのです。
五段活用動詞は「ない」の形にすると「ない」の前の語の母音が「あ」になります。
歌う→歌わない→歌わせていただきます
置く→置かない→置かせていただきます
話す→話さない→話させていただきます
気付きましたか?
サ行五段活用の「話す」は助動詞の「せる」を使う表現にもかかわらず、一見すると「○○させていただく」という形になっています。
このサ行五段活用の形に引きずられて「さ入れ言葉」を使ってしまうのです。
「○○させていただく」
「ない」の前の語の母音が「あ」以外の場合は「○○させていただく」という使い方をします。
受ける→受けない→受けさせていただきます
居る→居ない→居させていただきます
食べる→食べない→食べさせていただきます
すぐに判断できる裏技(?)としては、「○○させていただく」という形を使った際に、「さ」の前の語を伸ばして母音が「あ」以外のものはさ入れ言葉になることはありません。
受けェさせていただく→受けさせていただきます
居ィさせていただく→居させていただきます
食べェさせていただきます→食べさせていただきます
「見させていただく」と「見せていただく」
ちなみに「見る」という単語に言及すると、「見させていただく」も「見せていただく」もどちらも正しい表現です。
「見せていただく」は助動詞の「せる」「させる」を使った表現ではないからです。
「見させていただく」=自動詞「見る」+助動詞「させる」+謙譲語「いただく」
見る→見ない→見させていただく
「見せていただく」=他動詞「見せる」+謙譲語「いただく」
少し難しいですね。
おまけ
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この記事のようにより正確な言葉の使い方を意識し、日々受電・架電を行っています。
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