植村明美
日照雨 読み方は「そばえ」です。
字のとおり、天気雨の別名でさばえと呼ぶ地方もあり、「戯へ」と書くこともあります。
お天気がいいのに雨が降っている、ということから、天の戯れということでそう呼ばれるこの現象は、他に「狐の嫁入り」とも呼ばれます。
さて、ここで疑問に思ったのは、なぜ天気雨の状態を狐の嫁入りと呼ぶのでしょうか。
色々調べてみましたが、本当に沢山の説があるようで、実際のところはわからないようでした。
昔は他の地域からお嫁入があるときは、前もって提灯行列などの予定がわかるので、急にそういった行列があったり、鬼火が見えたりした場合は「狐の嫁入りに違いない」と言われ、雨なのに晴れている様子が、急に灯がともった提灯行列のようだからとか、「急に起こるびっくりすること」繋がりでそう呼ばれるとか、昔日照りが続いたときに生贄として捧げるために、狐を村の若者の嫁として迎えるフリをして、生贄にした(怖い!)からとか。
いずれにしても、昔はそんな空の現象は説明のつかないことだったため、怪奇現象のひとつとしてとらえていたのでしょう。
また、夏から秋の台風が近づいてくる前などにも起きるので、子供たちを怖がらせて危険が近づいている時に外に出さないようにしたという説もあるようです。
面白いのは、海外でもこの現象を呼ぶときに動物が使われていることが多いことです。
英国やオーストラリアではMonkey’s birthday(サルの誕生日)と呼ばれるようですが、その他、ブルガリアでは熊、韓国では虎との結婚と呼ばれることもあります。
面白いですね。
似たような状態を指すことばに「片時雨」(かたしぐれ)がありますが、日照雨が晴天の中で雨が降っているのに対して、片時雨は、一方が晴天であるのに、空のもう一方では雨が降っているという状態です。
また、日照雨は夏から初秋のものでありますが、片時雨は冬のものです。
出典
三省堂 大辞林
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E6%B0%97%E9%9B%A8