内田絵梨
似た意味を持つ言葉に「練習」と「稽古」と「訓練」があります。
これらの言葉は何が異なるのでしょうか。
今回は「練習」と「稽古」と「訓練」の違いについて調べてみました。
練習とは
練習とは「技能・学問などが上達するように繰り返して習うこと」です。
漢字をみてみると練習の「練」は心身や技能を鍛えることを指し、練習の「習」は繰り返し学ぶことを表しています。
読んで字のごとく、一定の行動を反復して行うことで技能を鍛えることが練習というわけです。
稽古とは
稽古とは「芸能・武術・技術などを習うこと」を指します。
稽古の「稽」は考えることを意味し、「古」は昔のこと、いにしえを表します。
つまり、「昔のことを考えること」「昔のことを調べて今なすべきことを正しく知ること」が原義の言葉です。
ちなみに、日本最古の歴史書とされる古事記の序文はこんな言葉で始まります。
古(いにしえ)を稽(かんが)えて以(もつ)て風猷(ふうゆう)をすでに廃(すた)れるに縄(ただ)し、今を照らして以て典教(てんきょう)を絶えんとするに補(おぎな)わずということなし
つまり、「昔のことをよく学び、すでに廃れてしまった道徳を見直し、今の基準とすべく失われかかっている尊い文献を補うために、この古事記を書き残しておく」という意味です。
稽古は古来は「昔のことを学ぶこと」「学問を学ぶこと」という意味で使われており、中世以降、学問に限らず芸能や武術を学んだり習うことにも用いられるようになりました。
今では、学問を学ぶことよりも、芸事や習い事、日本古来の武術などに用いられることが多くなっています。
なお、稽古に続く言葉によって少々ニュアンスが変わり、「稽古する」は「練習する」の意味になり、「稽古をつける」は「訓練する」の意味になります。
訓練とは
訓練は「あることを教え、継続的に練習させ、体得させること」です。
訓練の「訓」は教え導くこと、「練」は練習を指します。
教えこんで慣れさせ、身につけさせることが「訓練」なのです。
そのため、練習は自分から「する」ものであるのに対し、訓練は他人に「させる」ものであるという違いがあります。
いかがでしたか。
似ているようで違う「練習」と「稽古」と「訓練」でした。
おまけ
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参考:語源由来辞典 / デジタル大辞泉(小学館)