内田絵梨
衣服の丈が短くて、手足や膝が出ていることを「つんつるてん」と言います。
楽し気でかわいらしい響きの言葉ですよね。
この「つんつるてん」、語源はよくわかっていないようなのですが、由来であろうという説がいくつかあるので、今回はそれをご紹介します。
寸釣天
まずは寸法が天に釣りあがる「寸釣天(すんつるてん)」からきているという説。
身長にあっていない袴をはくと、どうしても正しい寸法より上にあがって足が見えてしまいます。
そこから、寸法が天に釣りあがっている――「寸釣天(すんつるてん)」の音が転じ、「つんつるてん」になったという説です。
つんつら、てんつるてん
「つんつるてん」という言葉が使われだしたのは明治の頃。
江戸時代には「つんつら」や「てんつるてん」という言葉が使われていました。
小野川縞の干し浴衣の、つんつら短いやつを腕まくりして
山東京伝『仕懸文庫(しかけぶんこ)』寛政3年(1791年)
上着は五寸もつまつたてんつるてん
式亭三馬『古今百馬鹿(ここんひやくばか)』文化11年(1814年)
山東京伝の洒落本に書かれている一節は、小野川縞――江戸中期の横綱・小野川喜三郎の着物にちなんで売り出された縦縞模様のこと――の模様の寸足らずの浴衣を腕まくりしている様を表しています。
式亭三馬の滑稽本に書かれているのは、読んでそのまま、15cmほども足りない上着を着ている様を表しています。
どちらも面白い語感をしていますね。
この「つんつら」と「てんつるてん」が混じり合って「つんつるてん」という言葉になったという説があるのです。
もう一つの意味
なお、辞書で「つんつるてん」を引くと、2つ目の意味に「頭が完全にはげていること」とあります。
これは恐らく「つんつるてん」の語感からくるイメージで後付けされた意味でしょう。
なるほど天辺がつんつる光っているような印象を受けなくもないですね。
おまけ
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