内田絵梨
お盆は亡くなったご先祖様を祀る行事です。
日本古来の祖霊信仰と仏教が融合し、ご先祖様があの世からこの世へ戻ってくる期間とされます。
さて、そんなお盆には行事食が存在します。
今回はお盆に食べる料理についてご紹介します。
仏壇にお供えしたものと同じものを食べる
お盆の行事食は地域によって様々ですが、全国的に共通しているのは「仏壇にお供えしたものと同じものを食べる」ということです。
この「同じもの」は仏様のおさがりではなく、別に用意したものを指します。
精進料理
用意されるものとしては「精進料理」が一般的です。
精進料理は仏教の戒に基づいて、動物の殺生や煩悩の刺激を避けることに重きを置いた料理です。
そのため、肉や魚、卵は使いません。
また、五辛(ごしん)や五葷(ごこく)と呼ばれる5つの辛みのある野菜「にんにく」「ねぎ」「にら」「らっきょう」「はじかみ(しょうが、さんしょう)」を使ってはならない決まりがあります。
そうめん
そうめんもお盆の行事食と言ってよいでしょう。
ご先祖様があの世に帰るときに乗る精霊牛の手綱にしたり、荷縄として使ってもらうためにお供えすることもあります。
また、そうめんの元になったとされる索餅(さくべい)と呼ばれる唐菓子は、平安時代には七夕に食べると熱病にかからないとされ、宮廷の行事に取り入れられていました。
日本の夏とそうめんは切っても切り離せない関係にあるのですね。
加えてそうめんは、ご先祖様と家とを繋ぐ糸にみたてて、再会の喜びと家族の幸せが細く長く続くようにという願いも込められています。
ありがたい縁起もかついでいるのです。
日付毎に食べられるもの
お盆のお供えものとして、日付ごとに異なるものを供える家庭もあります。
13日には「迎え団子」、14日から15日は「お供え団子」、16日は餡子なしの「送り団子」を供えることが多いようです。
迎え団子
盆の入りである8月13日にお供えする「迎え団子」にはご先祖様の長旅の疲れを癒やしてもらうためのものです。
甘辛いたれをかけたり、あんこをまぶすことが多いです。
疲れたときいは甘いものという認識は、あの世でも変わらないのですね。
お供え団子
お供え団子として一般的なのはおはぎとぼたもちです。
どちらもお彼岸でおなじみですね。
そもそもお盆とお彼岸の違いはご先祖様が帰ってくるかどうかです。
ご先祖様が帰ってくるのがお盆、この世とあの世が繋がるのがお彼岸です。
おはぎとぼたもちに使われる小豆は、魔除けの赤い色をしていたり、魔を滅する「魔滅(まめ)」に繋がることから邪気を払う力があるとされてきました。
また、お米から作られるお餅には「五穀豊穣」の願いが込められています。
縁起の良いおはぎやぼたもちを供えることで、この世に帰ってきたご先祖様をもてなす役割があります。
送り団子
送り団子はあの世にお土産として持って帰っていただくためのお団子です。
持ち帰って好きな味で食べていただくために、何もつけないお団子を用意することが多いようです。
いかがでしたか。
地域や家庭によって食べるものやお供えものは様々です。
親族が集まるということで大ごちそうを皆で楽しむのが定番という方もいらっしゃるでしょう。
「もし自分がご先祖の立場になったら」と考えると、「何を食べているか、何が供えられているか」よりも、生きている子孫達がにぎやかに楽しく食事をしているのが何よりの癒やしになるような気もします。
何はともあれ、お盆に実家に帰る際には、毎年何が食べられているか、何を供えているかを確認してみると新たな発見があるかもしれません。
参考:にんべん(お盆の食べ物や料理の意味や由来!お供え物の種類や地域差を解説) / よりそうお葬式(お盆の時期の料理には決まりがある?お盆の食事は精進料理?) / そうめんの山道(お中元に“手延べそうめん”が選ばれる訳とは) / トクバイニュース(お彼岸はいつ? お盆との違い、ぼたもちとおはぎの使い分けも解説) / 和菓子と歳時記(お盆 迎え団子 送り団子) / RING BELL GIFT CONCIERGE(お盆の食事 行事食にはどんなものがある?) / HOTEL PLAZA OSAKA(お盆の食べ物にはどんなものがある?) / 配食のふれ愛(お盆にちなんだ食べ物について)