内田絵梨
昨日、ついに日本郵便で年賀はがきが発売されました。
耳を澄ますと冬の足音が・・・!
年末が着実に近づいていますね。
さて、年が明けると聞こえてくるのが「あけましておめでとうございます」の声。
これの頭に「新年」を付けるか否かで頭を悩ませていらっしゃる方も多いのでは?
はたして「新年明けましておめでとうございます」は間違いなのでしょうか?
まずは誤用であるとする2つの意見からみていきましょう。
誤っている派1「明けるの意味を考えよう」
日本語の「明ける」はなかなかどうして奥が深い言葉です。
辞書を引くとこのように載っています。
(明ける)あるひと続きの時間・期間・状態が終わって、次の時間・期間・状態になる。
㋐朝になる。「夜が―・ける」⇔暮れる。
㋑年が改まる。「年が―・ける」⇔暮れる。
㋒ある期間が終わる。「喪が―・ける」「梅雨 (つゆ) が―・ける」
(出典:デジタル大辞泉)
はい。ここでまた「新年明けましておめでとうございます」を見てみましょう。
「新年が明ける」のであれば「㋑年が改まる」と「㋒ある期間が終わる」適応され新年が終わりましたという意味になってしまうのです。
誤っている派2「重複は避けよう」
賀詞は重複させないことが年賀状マナーです。
原則として「謹賀新年」や「賀正」と既に書いてあるれば、「あけましておめでとうございます」など新年の祝いを述べる文章は書きません。意味が重複してしまうからです。
同じように二重表現も誤りとされます。
一般的にも「頭痛が痛い」や「馬から落馬する」などの表現は好ましくない語法ですよね。
「あけましておめでとう」はその言葉だけで新年を祝う言葉です。
わざわざ「新年」と付けなくても意味は通じます。
よって「新年明けましておめでとうございます」という表現は避けるべきだとする向きもあります。
正しい派1「明けるの意味を考えよう」
誤っている派と全く同じ小見出しです。
今一度、「明ける」を見てみましょう。
(明ける)あるひと続きの時間・期間・状態が終わって、次の時間・期間・状態になる。
㋐朝になる。「夜が―・ける」⇔暮れる。
㋑年が改まる。「年が―・ける」⇔暮れる。
㋒ある期間が終わる。「喪が―・ける」「梅雨 (つゆ) が―・ける」
(出典:デジタル大辞泉)
そもそも、日本語を母語とする者の感覚として「明ける」は、新たな始まりを連想させる語ではないでしょうか。
「夜明け」と「朝明け」。どちらも同じ意味合いです。
「夜明け」はあるひと続きの時間(夜)が終わって次の時間(朝)になる「現象の変化」。
「朝明け」ははあるひと続きの時間(夜)が終わって次の時間(朝)になったあとの「変化の結果」です。
「新年明けましておめでとうございます」を「変化の結果」として解釈した場合、続きの時間(旧年)が終わって次の時間(新年)になったあとということになります。
よって「新年明けましておめでとうございます」は正しいとする意見です。
正しい派2「単語が省略されている!」
年賀状には句読点は打ちません。
つまり、「新年」と「明けまして」の間に省略されているものは読点(、)なのか助詞なのか単語なのか、はたまた文章なのか分からないのです。
「新年あけましておめでとうございます」はこう言い換えられるのではないでしょうか。
「新年になりましたね。旧年明けましておめでとうございます。」
文法もばっちりです。
結論
結論としましては、「どちらでも構わないが、『あけましておめでとうございます』もしくは『新年おめでとうございます』と書いた方が無難」です。
「新年あけましておめでとうございます」は誤用とする声の方が現状としては大きいからです。
しかしながら、以前は誤用とされていた丁寧の表現「美しいです(正:美しゅうございます)」などが一般化したように言葉は変化するものです。
「新年あけましておめでとうございます」が万人に受け入れられる日も来るかもしれません。
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