内田絵梨
12月に入ってお歳暮の準備をされている方もいらっしゃいますよね。
お歳暮は正式なマナーとしては12月10日頃から20日頃に贈るのが良いとされていますが、近年では徐々に早まり、12月初旬から20日頃までに贈るのが一般的となっています。
さて、このお歳暮を購入する際、販売員の方から「内のしにしますか?外のしにしますか?」という質問を投げかけられることがあります。
そもそも熨斗とは何なのでしょう?
熨斗ってなに?
実は熨斗はのし紙の飾りの黄色の部分の名称です。
色紙に包まれた黄色のものは、あわびを薄く削ぎ、干して琥珀色の生乾きになったところを、竹筒など円筒形のもので伸ばした(熨した)「熨斗あわび」を表しています。
あわびは古来より、長寿をもたらす縁起物として神社や神棚に供える供物に用いられてきた海の高級食材です。
神社や神棚に供えるということは穢れのないしるし。慶事にはぴったりです。
また、縁起物を伸ばした(熨した)ものであるためか、「寿命を延ばす」「商売を伸ばす」ものとしてお祝いごとの贈りものに添えられるようになりました。
生ものに熨斗
さて、気をつけなくてはならないのが、肉や魚など生ものを贈る場合です。
熨斗を貼ることで進物に「生ものを添えました」という意味になります。
生ものに熨斗を貼ると意味が重複してしまうので、基本的に生ものに熨斗は付けません。
掛け紙に水引だけをかけて贈りましょう。
また、仏事においても生臭物が禁じられているため、熨斗は使わず、掛け紙に水引だけをかけて贈りましょう。
内のしと外のし
「内のし」は品物の箱に直接熨斗を付け、その上から包装紙で包むことで、「外のし」は品物の箱を包んだ包装紙に熨斗をつけることをいいます。
自分でお歳暮を持って渡しに行く場合は「外のし」に。
郵送や宅配便で配達する場合は、熨斗が配送中にはがれたり汚れたりするのを避けるため「内のし」にしましょう。
いかがでしたか?
慶事に何気なく使っている熨斗ですが、日本の文化が息づいていることが感じられるかと思います。
こういった習慣を大切にしていきたいですね。