植村明美
「腸活のススメ。」
人間の身体の中には色々な臓器が入っていますが、その中で「腸」はあなたにとってどんな位置づけでしょうか。どの臓器も、もちろん、ひとつたりとて欠けてはなりませんが、「心臓」や「脳」と比べて「腸」に対する関心度は低くはありませんか。
最近、急に注目度は高くなってきている感じのある「腸」の健康ですが、実際、どうして腸の健康が今、そこまで注目されているのか、正直よくわからないという方も多いかもしれません。
そんな「腸」への認識を変えるかもしれないお話。
「腸活のススメ。腸を制するモノは人生を制す!」です。
「腸内の善玉菌を増やす」と聞くと、単に「お腹の調子を良くする」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、腸を良くすることは、ただ「お腹の調子を良くする」ことではありません。
腸は「第二の脳」
幸せホルモン「セロトニン」を作り出す
まず、腸は「第二の脳」と言われているように、脳の次に神経細胞がたくさん存在する場所なのです。
だから、脳がストレスを感じると、下痢を起こしたり、腸はたちまち悲鳴をあげます。過敏性腸症候群などはその代表的な現れですね。逆に、あまりに消化の悪いものを食べたりすると、脳にもストレスを与えてしまうことになります。
また、人は「幸せ」を感じると、気持が穏やかになったり、前向きになったりします。その「幸せ」と感じる元になる物質のひとつに「セロトニン」がありますが、「セロトニン」は、腸内で作られて脳に伝達されることが近年わかってきました。なので、たとえば旅行に出かけるとか、恋人と会うとか、そういった幸せ体験がもし乏しかったとしても、腸内の環境が良ければ、人は「なんちゃって幸せ」状態となり、前向きに人生を送れるということになります。
ただし、腸と皮膚も繋がっているため、愛する人に触れられたり、子供がお母さんに抱きしめられたりすると、「セロトニン」が腸内で作られるということもあるようです。スキンシップはやはり重要です。
そして、この幸せホルモン「セロトニン」の生成には、腸内フローラが関わってくることがわかってきたそうです。
お腹の中にお花畑?「腸内フローラ」ってなに?
「腸内フローラ」とは何か。名前のごとく、腸内お花畑状態のことです。
腸の中には沢山の菌がいるのですが、それを顕微鏡でのぞくと、まるでお花畑のごとく群生するように見えることからついた名前です。
腸内は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の勢力争い!
腸に住む菌は「善玉菌」「悪玉菌」そして「日和見菌」
「悪玉菌」が増えると、おなかが痛くなるだけでなく、腸から吸収されて全身に廻ってしまい、生活習慣病など様々な病気の要因となる場合があります。
また、腸内フローラが乱れることによって、幸せホルモン「セロトニン」が上手く生成されず、ストレスを脳が感じ、身体に悪影響を与える可能性もでてきます。
「善玉菌」は、悪い菌を対外に排出する働きもありますから、例え悪い菌が入ってきたとしても、善玉菌が優勢であれば、心配は要りません。
「日和見菌」というのは、腸の菌の中のだいたい7割を占め、善玉菌が多いときは、善玉菌になり、悪玉菌が多くなると悪玉菌に傾くという関ヶ原の合戦でいえば小早川秀秋の軍勢、現代の選挙の有権者でいえば、無党派層みたいな存在です。
ですから、腸内を良い状態に保つには、善玉菌を増やし、いつも善玉菌が優勢な状態に整えておく必要があるのです。
この時期、風邪をひいてしまう方は多いと思いますが、そんなときに、病院に行って抗生物質を処方されたとします。抗生物質は菌をやっつける力がありますので、菌が入ってしまった、または入った恐れのあるときは飲んだ方がいいと思いますが、実は、腸の中のかなりの数の善玉菌も死滅させてしまうので注意が必要です。ちょっとした風邪ぐらいなら抗生物質に頼らず、腸内の善玉菌を普段から増やしておいたほうが病気に抵抗する力になると個人的には思います。
では、善玉菌を増やすには、どうしたらいいか。いくつか方法があります。
次回は、腸内環境を整えるために実際するべきことをいくつか紹介いたします。