植村明美
2017 ホワイトデーのお返しは何が正しいのか
バレンタインデーの1カ月後にあるホワイトデー。
バレンタインデーは、「チョコレート」という贈るものが明確になっている日でありますが、ホワイトデーは、一時、クッキーデーとか、マシュマロデーとかいった名前もついていて、何をいったい贈ったらいいのかわからない感もあります。
ホワイトデーの由来
日本におけるホワイトデーの由来を調べていけば、もうちょっと明確になるかもしれないと思い、調べだしたところ
お菓子会社の策略で、何でもいいからバレンタインデーの1カ月後にお菓子を売ろうと作られた日じゃないかと思っていたら、それだけでなく、意外と色々な理由があるものでした。
バレンタインデーから1カ月
聖バレンタインデーの由来については、
以前ご紹介しましたが、
そのバレンタイン司祭が殉職してから1カ月後の3月14日に、司祭が助けてあげた男女は改めて愛を誓い合ったそうです。
全国飴菓子工業協同組合による定着
日本では、バレンタインデーが定着するにつれて、若い世代の間で、お返しをする風潮が生まれており、各菓子業界が、個々に売上と結び付けようということで、「○○(商品の名前)デー」などと名前をつけていました。
大きな動きを見せたのは、まずキャンディー業界です。
全国飴菓子工業協同組合が、1978年(昭和53年)の名古屋総会において、全飴協ホワイトデー委員会を組織する採択決議が行われ、3月14日をホワイトデーと定めて
「ホワイトデーはキャンディーの日」というふうに決めました。
全国飴菓子工業協同組合のHPを見ると
「ホワイトは純潔のシンボル。ティーンのさわやかな愛にぴったり」との考え方のもとに、「ホワイトデー」と名づけたのでした。
とあります。
元々は、キャンディー業界もホワイトデーは若者が行うもので、こんなに大人たちにも浸透するとはこの頃は思っていなかったんじゃないでしょうか。
そして2年後の1980年、全飴協・関東地区部会が
「東京の中心は銀座だ、旗上げ興行をやるなら銀座で! 」ということで
銀座三越に話をもちかけたところ、予想以上に三越側も乗り気で話が進み
1980年3月14日に、第1回のホワイトデー
“愛にこたえるホワイトデー”を実施し、現在に至るということです。
マシュマロの石村萬盛堂による定着
このように飴菓子の会社が協力してホワイトデーを設定して進めていきましたが、
時を同じくして
昭和52年に鶴の子というお菓子で有名な福岡県の
がマシュマロデーを作っていました。
きっかけは社長の石村僐悟が雑誌の投稿の
「バレンタインデーに男性はチョコレートを貰えるのに女性にお返しが無いのは不公平。
せめてマシュマロでも……」というのを見たことに始まります。
それを見た石村社長は、男性から女性にマシュマロをお返しする日を作れないかと考えました。
石村萬盛堂の主力商品「鶴の子」はマシュマロで黄身餡をくるんだお菓子ですが、当時、石村萬盛堂では、売上の殆どをこの鶴の子に頼っており、売上が低迷する時もありました。
「なんとか新しいお菓子を作って世に出したい。」
社長は考えます。
「バレンタインデーに君にもらったチョコレートを、僕の優しさを包んで(マシュマロ)お返しするよ。」
というコンセプトで、バレンタインデーのお返しをマシュマロでする日を作ることにしました。
では、その日をいつにするか。
バレンタインデーの1週間後の2月21日
バレンタインデーの1カ月後の3月14日
バレンタインデーを逆さにした4月12日
この3日のうちどれかにしようということになりましたが、
1週間後では早すぎる、2か月後では間が開きすぎると、
社内の会議でも決まりません。
そのまま決定できないまま、当時福岡随一の百貨店であった岩田屋(現三越岩田屋)にこういう日を制定したいがいつがいいかと話を持っていったところ、
「それは一番暇になる3月14日がいい。」ということになったそうです。
う~ん、やっぱり百貨店の力大きいんですねえ。
こうして福岡でも3月14日がバレンタインデーのお返しをする日ということでイベントが始まりました。
色々理由はあるにせよ3月14日はホワイトデーになる日ではあったんですねえ。
ただ、「マシュマロデー」を3月14日に設定しても、7~8年は売上は低迷していました。
そんなとき、百貨店から、
「マシュマロデーをマシュマロの白を連想させるホワイトデーに変更できないか。
バレンタインデーのお返しには、マシュマロだけではなく、もっと幅広くバレンタインデーのお返しにする文化にできないか。」
という申し入れがあったのです。
それから、マシュマロデーは「ホワイトデー」となり、お菓子だけでなく、衣料やその他の食品なども参入し、バレンタインデーのお返しをする日という日本独自の風習となって定着していきました。
日本人は義理がたいので、何かを貰ったらお返しをしないと、という気持ちが働くということも、ホワイトデーが定着した大きな理由のように思えます。
そう考えるとティーンのみならず大人にも広がっていったのも頷けます。
そう、思い出しました。
だから、昔はお返しはキャンディーだと聞いていたのに
しばらくしたら
「いや、マシュマロです。」
「クッキーデーという名前があるらしいからクッキーじゃない? 」と
いう感じで情報が錯綜しながら広がっていったんですね。
こちらは石村萬盛堂の商品
チョコマシュマロ
真っ白なマシュマロにチョコクリームが入っていて
とても美味しいです。
結論! お返しは女性が喜ぶものなら何でも良い。
なので、ホワイトデーにお返しする品は、元々はこの飴の業界団体とマシュマロ屋さんが考えたので、「キャンディー」か「マシュマロ」どちらかということでしたが、
百貨店の肝入りにより、他に何でも、消費の落ち込むこの時期に売れたら御の字みたいな感じで広まったので、結局のところ、
女性が喜ぶものなら何でも良い! ということになります。
では、女性はどんなものをホワイトデーに貰ったら嬉しいんでしょうか。
ホワイトデーに貰ったら嬉しいもの
グッドクロス社内で緊急アンケートを実施したところ
「本命のお返しに貰うのか、義理のお返しに貰うのかでちょっと違う。」
とのお答えが……!
た、確かに。
慌てて本命に貰って嬉しいものと義理のお返しに嬉しいもので聞いてみましたが
どちらも共通で人気だったのが
マドレーヌ
マカロン
マシュマロ
義理チョコのお返しとして断然人気だったのは
チョコレート
バレンタインデーにプレゼントする時に、自分でも食べたいなと思うのかもしれません。
でも、ホワイトデーもチョコをあげるとなると
完全にチョコレート業界のひとり勝ちです……
そして、
本命のカレに貰って嬉しいもの
第1位は
お花でした~
好きな人になら何を貰っても嬉しいと思いますが、
お花を貰ったら、とてもHAPPYってことですね。
その代わり、義理チョコのお返しに貰ったりしたらちょっと困るというお答えが聞こえてきました。
男性の皆さん、良かったら参考にしてください。
ホワイトデデーについて調べてみたら、
やはり完全にお菓子会社の戦略で決まった日ではあるのですが、
その業界に携わる人々の努力や思いが込められていることがわかりました。