植村明美
品川縣ビール
幻のビール復刻
グッドクロスのある町、五反田は東京の品川区北部に位置します。
明治維新のころ1869年から2年間だけ、品川縣という県が存在し、品川区もその一部でした。
品川縣は今の品川区と比べると範囲が大変広く
現在の練馬、杉並、中野、新宿、渋谷、目黒、品川、大田、世田谷、多摩の東部、南部、神奈川の一部が品川縣でした。
治めていたのは県知事の古賀定雄(一平)。
その頃、品川縣の一部の縣民は困窮を極めており、その窮民救済のため古賀知事はビールづくりを思いつきます。
現在の松平土佐守下屋敷跡(現在の品川区東大井三丁目)に麦酒製造所を設立し、麦酒の醸造を始めます。
ところが初めて麦酒を飲んだ日本人にとっては口に合わず、なかなか麦酒づくりもうまくいかず、販路も開かれません。
そうこうするうちに1871年廃藩置県があり、第一次府県統合で品川縣は廃止。東京府、神奈川県、埼玉県に分割され、古賀も知事ではなくなり、麦酒づくりからも撤退。
たった2年間存在した品川のビール工場。幻のビールと言われていました。
時は流れ2006年。この日本最初のビールに敬意を払い、品川縣ビールとして復刻させた人がいたのです。
それが今回ご紹介する、品川縣麦酒の永尾章二さんです。
永尾さんは、この地域の町おこし、地域振興ということで、
「しながわ花海道」というプロジェクト名で活動を開始します。勝島運河という、立会川と鮫洲の間にある運河の護岸に菜の花やコスモスを植えてお花畑にし、地域住民の憩いの場にするとともに地域の活力となるようにするプロジェクトです。
この活動を通し、地域の研究をする中で、品川のビール工場や古賀知事のことを知ります。その歴史を調べるうち、もう自分達でビールを作ろうということになり、仲間を募りました。
商店街の若手の人たちや、ビール好き、学校の先生、酒屋さんなどが有志として集まります。
仲間の中に地方の町づくりの講師をしている人がいて、秋田に招かれて講演をする機会があり、自分達はこれから品川でビールを作りたいんだという話をされたのだそうです。
その講演に来ていたお客さんの中に田沢湖ビールの営業の人がいたのです。
田沢湖ビールを運営する株式会社わらび座は、民族伝統をベースにした現代的な舞台作品で全国公演している劇団としてスタートしました。
1953年から秋田県田沢湖町(現仙北市)に本拠を置き、劇場、温泉宿泊施設をつくり、たざわこ芸術村を設立して新たな文化の創造をしています。地ビールづくりもその一環で開発が始まり、1997年秋田県第一号の地ビールとして「田沢湖ビール」を誕生させました。
田沢湖ビールでは、1909年にどぶろくから発見された日本最古のビール酵母「エド酵母」を持っており、このエド酵母を活かしたビールを作りたいと研究をしていました。
新たなビールを作るなら、「エド酵母」ですから、東京で売りたい。
研究会のほうも、ビールを商品化してくれるいい会社はないかと探していたところでしたから、まさに運命的な出会い。
「ビールは私達が作るから、あなた方は東京で売ってください!」ということで話はとんとん拍子に進みます。
こうして2006年、品川縣ビールは誕生しました。
――品川縣ビールの最大の特徴というのはどんなところでしょう。
コクですね。ビールでコクというのはどうなのかなとも思うけれど、どっしりとくる。なのにのど越しが他と比べて格段と良い。すーっと入っていきます。
――わあ、飲んでみたいです! どこで飲めるんでしょうか。
品川区の飲食店が中心です。五反田の秋田料理の吾作さんなどで出していただいてます。
戸越銀座の漁さん、不動前の山猿さんでは、樽生が飲めますよ。生はグー。特にお薦め。
――樽生! 益々飲んでみたいです。飲食店以外でも購入できるんですよね。
品川縣株式会社に電話かメールで直接注文していただくことができます。
それから、賛同してくれている酒販店さん。あとは運河まつり、桜まつりなどのイベント会場ですね。
――お中元などのギフトで贈ったら喜ばれそうですね。
そうなんです。自分で買って飲むビールも美味しいけど、いただいたビールって美味しいでしょ?
貰ったら絶対に嬉しいですよね。
――ラベルも素敵ですが、デザインはどうされたんですか。
研究会のメンバーにミニコミ紙の編集長がいて、全部やっていただいた。品川区の紋章が入っているので、ちゃんと品川区にも許可を貰って。今では品川区も全面的にバックアップしてくださってます。
品川区へのふるさと納税の返礼品にもなっています。
――当時の工場はどの辺りにあったのでしょう。
大井村浜川町の旧土佐藩山内家下屋敷跡(現在の東大井3丁目付近)にありました。元々龍馬が好きで、それがビール工場がこの地にあったのを知るきっかけになったんです。まあ、龍馬のことを話すと、皆そうですけど時間がいくらあっても足りなくなっちゃうから。
――明治2年にビール工場を古賀一平品川縣知事が興したときには、なぜうまくいかなかったのだと思われますか。
先見の明があり過ぎたってことですよね。早すぎた。その頃の新聞の記事などを見ると、とにかく臭いと思われていたみたい。ビールっていうのは糞便みたいだと。それから、一平が知事であった期間自体が短かったというのもあったと思います。
――田沢湖ビールとの出会いというのはドラマティックですよね。
そのいきさつは、本当に語り継いでいきたいと思ってます。その場にいた人は本当に鳥肌が立ったと言ってます。
品川縣ビールは、田沢湖ビールの持っていたエド酵母を使って実際に作られた初めてのビールになったんです。田沢湖ビールの工場長の小松さんは、40歳のときにドイツに単身で渡ってビール作りを学んだ人で、私達のビールへの思いと通じるものがありました。
田沢湖ビールはね、元々劇団なので、立派な劇場があって、レストランがあって、温泉も宿泊施設もある。行くと本当に楽しいですよ。
しながわ花海道
――しながわ花海道のプロジェクトはどういったものなんでしょう。
花海道はね、今とっても綺麗ですよ。
場所は立会川駅と鮫洲駅を結ぶ運河沿い。
勝島運河の護岸に何も無かったので、花を植えてお花畑にしたの。春は菜の花、秋はコスモス。地域の人の憩いの場になるし、お花を見に来てくれる人もいるし。そして、はちみつを採りたいんですよね。そうするとはちみつを採取するために周囲でもお花を植えてもらえますしね。
――今後の展望をお聞かせください。
もっとギフトで買って下さる方を増やしたいと思います。
いただいたものは「あんたから貰ったビール美味しかったよ。」ってなるから(笑)どんどん送って貰いたいの。
あと、できればパート2とかフレーバーが変わったものとか作りたい。
永尾さんはじめ、現代の品川に生きる人々の情熱と、明治維新の頃この地に居た人達のチャレンジ精神がひとつになり、更には秋田でビール作りにかける人々との出会いがあり復活した品川縣ビール。
人々の熱い思いと、思いがけず品川にゆかりのある色々な歴史も知ることができました。
皆さん、
品川縣ビール飲んでみたくなってきましたよね。
すみません。
わたくしたち、買いましたので、飲んでみます!
品川縣ビールを飲んでみた
ビール本来の黄金色のモルトに加え
焦がしモルト・グレーンを入れているため、
赤みを帯びた色あいです。
なんとも美しい。
酵母をろ過しないまま瓶に詰められた新鮮なビールの
お味はどうでしょう。
グッドクロス社内の反応は如何に。
まずはフィリピンイロイロから帰って程ない
荒木さん
どうでしょう?
お~っと飲み干しました
飲みやすいですね。
クセが驚くほど無い!
どんどん飲めますね。
高評価のようです。
お次は
グッドクロスいちの酒豪との呼び声高い
竹内さん
お味はどうですか?
はい、
この表情が全てを語っていますね。
河口さん
おひとつどうぞ
うまい!
では、
ラーメンコメンテーターとして
テレビにでられるんじゃないかと私達が思っている
矢後さんにも飲んでいただきましょう。
如何ですか?
うまい。
のど越しがいいよね。
すごく飲みやすいのにちゃんと味がある。
いただきました
高評価♪
ラーメン録のネタも
これからもじゃんじゃん、よろしくお願いいたします。
確かに、のど越しがいいです。
発泡はもちろんきっちりしているけど
ぴりぴりしないっていうか、味も炭酸もまろやか。
見た目は色が濃い目なので
もう少し苦いのかと思いましたが
苦みもまろやかで甘みも感じる
爽やかでぐびぐび飲めるのに甘みや風味がしっかりあるという感じです。
ここで飲める!
さあ、いよいよ飲みたくなった方は
お店に行くか
品川縣ビールさんに注文してくださ~い。
店名:吾作(秋田料理)
住所:東京都品川区西五反田1-29-2
電話:03-3491-2221
店名:山猿(居酒屋)
住所:東京都品川区西五反田5-12-3 不動前駅前TQビル 1F
電話:03-3491-5470
店名:漁(居酒屋)
住所:東京都品川区戸越1-20-10
電話:03-5498-5222
電話:03-5763-9566
お花見の席にあれば
一層盛り上がること間違いなし!
ただし、栓抜きをお忘れなく♪
忘れると、歯で開けることになりますよっ。