TOP / 留学 2019.04.23

東京五輪を10倍楽しむためのルール予備知識 馬術

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障害場術

オリンピックの競技で唯一、動物とともに競い、男女の別なく戦う競技、馬術

男女の区別なく競技が行われることからもわかるように、体力の差よりも、いかに馬と一体になり上手く乗りこなすか、経験からくる技術や鍛錬が必要となります。

2012年ロンドン大会で法華寛が71歳にして馬場馬術の代表となったことはそれを如実に表しています。

馬術は、1952年のヘルシンキ大会で軍人以外の男女ともの参加が認められるまでは、男子の軍人のみが参加する競技でした。

馬場・総合・障害3つの種目があり、共通する見どころとしては手足の動き(手綱さばき)や体重の移動により馬へ乗り手が意思を伝えたり、操る技術と、応える馬の能力のコンビネーションにあります。それぞれの能力だけでなく、馬と人がどれだけ意思の疎通が行われるか、信頼関係やいかに馬を統率できるかという乗り手の技量も必要になります。

それでは3つの種目それぞれについて簡単に説明していきましょう。

馬場馬術

規定演技と自由演技があり、どちらも20m×60mの長方形のアリーナと呼ばれる競技場で演技をします。

規定演技では各演技を行う場所が英字マークで示されていて、その正確さや美しさを競います。当然、乗っている人間が細かく指示を出して馬を誘導しているのですが、指示が出されているからではなく馬が自らその動きをしているかのように演技することが高得点に繋がります。正に人馬一体の動きが要求される競技なのです。

馬のステップには脚を高く上げて歩く「パッサージュ」同じ場所で足踏みをする「ピアッフェ」左右の脚を交差させるような動きの「ハーフパス」スキップのような感じで進む「フライングチェンジ」などがあります。

自由演技では必須要素を入れて自分でプログラムを組み立てて音楽をつけて演技し、美しさなどを競います。

アリーナ内で競技し、規定と自由があるところなど、ちょっとフィギュアスケートのようですね。

規定演技、自由演技ともに演技の項目ごとに10点満点で採点され、成績は70%、90%というように得点率で表示されます。

ハット、白のタイ、燕尾服、白い乗馬ズボン、ブーツなど独特の優雅な衣装が決められており、その様はまさに紳士淑女のスポーツです。

馬場馬術

障害馬術

アリーナ(競技場)に設置された13~15個の様々な障害物を決められた順番に飛躍し、落下物なく、馬が障害の前で跳躍を躊躇したり、ひるんだり、回避することなくミスなく早くゴールした者の勝ちとなります。

障害物の前で馬が止まってしまうのを反抗とよび、減点となります。また、障害物が落下しても減点です。

オリンピックのようなレベルの高い競技会では高さ160cmを超える障害もあります。

馬は馬術競技に適した品種の9歳以上と決められていて、選手の服装はヘルメット、襟と袖口が白のシャツ、白タイ、ジャケット、白の乗馬パンツ、乗馬ブーツとなっています。

障害馬術

総合馬術

馬場馬術、障害馬術に加えてクロスカントリー競技の3種目を3日間かけて行い、合計減点の少なさを競います。人馬ともに総合的なテクニックや能力が求められ、また3日間かかるため、馬のコンディションをキープさせることも大切。

3種目の中でも2日目に行われるクロスカントリーがメインとなり、竹柵、生垣、水濠など自然を活かした40を超える障害物が起伏に富んだコースに設置されています。6キロに近いコースを10分ほどで駆け抜けるのですが、最短距離をとると障害が多くリスクが高くなり、安全なコースはう回路となって当然時間がかかってきます。

クロスカントリーを無事に走り終えると最終日は審判員と獣医師が馬が障害馬術に出場できるコンディションにあるかどうかの検査をしにやってきます(ホースインスペクション)。馬に無理をさせないための検査でこれに合格して初めて最終日の障害馬術に出場を果たせます。

人馬ともに体力、気力、勇気、スタミナが必要となり服装はヘルメット、バックガードなどとなり他の2種目とは大きく異なります。

総合馬術

馬術競技はドイツが圧倒的な強さを誇ってきました。特に馬場馬術の団体戦では長年金メダルをほぼ独占してきましたが、オランダなども近年ドイツを脅かす勢いです。

日本人のメダルは1932年のロサンゼルス大会で大賞典障害飛越個人で西竹一(馬:ウラヌス)が金メダルを獲得したのみですが、近年は欧米からトレーナーを招いたり、有力選手は活動拠点を欧州に移して国際大会に出場しており、競技レベルは着実に上がっています。

また、1964年の前回の東京大会に23歳で出場した法華津寛が2012年ロンドン大会で71歳にして日本代表となり、再度代表の座獲得するか否かも注目するところであります。

因みに日本人で唯一の馬術競技のメダリスト西竹一は、男爵家の出身であったこと、美しい容貌と天真爛漫な性格もあいまってロサンゼルスの日本人社会で「バロン西」と呼ばれ大人気となりましたが、その後第二次世界大戦で硫黄島で戦死しています。映画「硫黄島からの手紙」を観た方はおわかりになると思いますが、劇中で伊原剛さんがこの「バロン西」を演じていました。

そして今回初めて知りましたが、オリンピックなど国際大会に出場する場合、馬もパスポートが必要なんだそうです。

馬のパスポートには馬の名前、所有者名、住所、馬の特徴、ワクチン接種の種類と有無などが詳しく記されていてパスポートが無かったり、記載に不備があった場合は最悪出場ができないということです。

如何でしょうか。わたしは今回馬術について調べてみて、優雅さとタフな部分を併せ持つ馬術競技に大変興味を持ちました。

2020年の東京オリンピックの馬術競技も前回と同様、世田谷の馬事公苑で開催される予定です。

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