植村明美
オリンピックで競技を見てみたいけれど、ルールがわからないと思うスポーツについて意見を求めると、必ず名前が挙がるのが「アーチェリー」。
どんなスポーツかよくわからないけれど、なんとなくお金もかかるイメージだし、かといって同じお金がかかるイメージのゴルフと比べて実際にやっている人があまり周りにもいない。
ですが、元々は狩猟の手段であったものがスポーツになったので、弓をつがえて的を射るという実はとてもシンプルな競技であります。
アーチェリーには屋外の平坦な場所で行われるターゲットアーチェリー、森や山の中などで行われるフィールドアーチェリー、室内で行われるインドアアーチェリーなど様々な種類がありますが、オリンピックではターゲットアーチェリーが行われます。
ターゲットアーチェリーは使う矢の種類により更にリカーブ部門とコンパウンド部門に分かれるのですが、弓の両端部分が反り返ったリカーブの矢のみが現在オリンピックで使用されています。
オリンピックで使われる標的は直径122センチメートルの円で、選手から標的までの距離は70m。
的の中心は10点。この10点をたたき出せる中心部の大きさはCDと同じくらい。円の外側に行くに従って9点、8点、7点……1点と点数が小さくなっていきます。
70mというとまあまあの距離があります。そこから小さな的をめがけて矢を射る。これは思っていた以上に精神的にハードなスポーツかもしれません。
しかも、個人戦、団体戦ともに制限時間が決められていて、その時間内に弓を射らなければならないのです。
試合の予選はランキングラウンドと呼ばれ決勝トーナメントでのランキングを決めるために行われます。
ランキングラウンドは6射×12=72射、1エンドの制限時間は4分。
予選は64人で行われ、1人が72射放ち、合計得点で順位が決まり、トーナメントでの対戦相手が決まります。
トーナメントの対戦は1位対64位、2位対63位というふうに成績の上から順番とうしろから順番での組み合わせとなり、決勝トーナメントでは選手は交互に矢を射るため、白熱したシーソーゲームとなる試合も多くあります。
個人決勝ラウンドのトーナメント戦は6ポイント先取で勝利。1セット(3射)当たり、勝者に2ポイントが付与されます。
同点の場合は10点の場所に当てることができている数で順位が決まります。なのでやはり真ん中を狙っていかないとならないのですね。
とはいえ、1射の制限時間は20秒。精神を集中させきれなくとも時間は迫ります。
アーチェリーはなんといっても韓国が強く、男女ともに圧倒的な強さを誇っています。その韓国の有力選手に迫り、破る選手が出てくるのか注目されます。
勝敗には体力や技術はもちろん必要ですが、精神面で大きく勝敗が左右される為、トップ選手の年齢の幅が広い競技でもあります。
前回リオデジャネイロ大会では日本人選手の成績は今ひとつ奮いませんでしたが、大会連続出場する選手もいると思います。年齢があまり影響しない競技であるので、前回の経験を糧にまた活躍が期待されます。