内田絵梨
Ho Ho Ho!
子どもの頃、「サンタさんの笑い方って特徴的だな。バルタン星人に似てるな。」と思っていました。
この記事を書くにあたって何気なく英和辞典でHo Ho Hoを引くと、「サンタクロースの笑い声」とあって、特定の人物の笑い声が辞書にのることなんてある?! とびっくりしました。
カナダではサンタクロース宛ての手紙の郵便番号は「H0H 0H0」なんだとか。
今日はそんなクリスマスに関するお話です。
クリスマス・イブのイブって何?
一般的には12月25日をクリスマス、その前日の12月24日をクリスマス・イブと呼びます。
子どもたちはチキンを食べ、ケーキを食べ、サンタさんからのプレゼントを心待ちにするクリスマス・イブ。あの高揚感はクリスマス以上と言ってもよいかもしれません。
さて、そもそもイブとは何なのでしょうか。
イブは英語でeveと書きます。実はevening(晩)と同じ意味を持つ中世英語のevenが由来となっているのです。
イブとクリスマスの期間
クリスマスはキリスト教のイエス・キリストの降誕祭です。
そして、イエスはユダヤ人。ユダヤ暦や、それを引き継ぐ教会暦に則って日付が変わります。
ユダヤ暦や教会暦は日没が日付の変わり目です。日没から一日が始まるのです。
つまり、本来、クリスマスとは12月24日の日没から12月25日の日没までの1日を指します。
イブの語源は先ほども言ったとおりeven(晩)なので、厳密にはクリスマス・イブは12月24日の日没後の夜。クリスマスの始まりを指す言葉というわけです。
日本とクリスマス
日本でクリスマスが初めて祝われたのは1552年のこと。
前年にフランシスコ・ザビエルが山口でキリスト教の布教活動を行っていたことから、山口にはキリスト教が広まったそうです。
しかしながら、その後、江戸幕府によってキリスト教信仰禁止令によって弾圧を受け、それから200年ほど祝われることはなくなります。
江戸末期からは外国時居留地などでクリスマスを祝われるようになりましたが、一般にも広がり始めたのは明治6年(1873年)にキリシタン放還令が出された後のこと。
じわじわとクリスマスが広がって、明治33年(1900年)には「明治屋」が銀座でクリスマスツリーを飾ったり、明治43年(1910年)に「不二家」がクリスマスケーキの原型を売り始めるようになりました。
クリスマスケーキは日本の文化?
クリスマスに関連するデザートは、実は国ごとに異なります。
イギリスのクリスマスプディングにフランスのブッシュ・ド・ノエル、イタリアのパネットーネ、ドイツのシュトレンなど歴史を持ったものが様々。
一方、日本のクリスマスケーキは不二家が発祥とされています。
不二家は1910年の11月に創業し、12月には日本初のクリスマスケーキを販売したというのですから素晴らしい提案力です。
今のクリスマスケーキは、スポンジケーキにホイップクリームを塗り、サンタクロースやクリスマスツリー、いちごやチョコレートを飾り付けたものが一般的ですよね。そしてろうそくを灯して、子どもたちがふっと吹き消す……。
実は、このろうそくに火を灯す行為、他の国ではクリスマスにはやらないそうです。ろうそくに火を灯すのは誕生日ケーキだけなんだとか。
クリスマスのチキン
加えてもう一つ、日本のクリスマスで独特なものが、クリスマスにチキンを食べること。
欧米ではチキンではなく、七面鳥を食べます。
何故、日本には七面鳥を食べる文化が定着しなかったのでしょうか?
戦後の日本では七面鳥の入手はとても困難でした。そもそも日本に七面鳥が生息していないためです。
また、欧米のように大きなオーブンも普及していませんでした。
クリスマスに食べられるような七面鳥の丸焼きを手軽に作ることができません。
極めつけは1970年に日本に進出してきたケンタッキー・フライドチキンの存在です。
一説によると、日本で七面鳥を探すことをあきらめた外国人客がケンタッキーでクリスマスを済ませたという話がきっかけとなり、ケンタッキーでは1974年にクリスマスチキンキャンペーンが開始されました。
このキャンペーンが大ヒット!
もはやこの時期のCMでケンタッキーを見ない日はないほど、クリスマスにチキン文化は日本に浸透したというわけです。
参考: 暦Wiki / 不二家 / 彩都山口 / 日本KFCホールディングス株式会社