山田 れい子
総務山田キリマンジェロの旅 前半
原点は「野生のエルザ」
アフリカに行きたい。子供の頃「野生のエルザ」を(たぶんNHKで)夢中で見ました。ケニアの狩猟監視官が人食いライオンとして射殺された母ライオンの子にエルザと名前をつけてかわいがり育てていくのですが、大人になったエルザを野生に返さないとならなくなって、その奮闘ぶりを描いたノンフェクションドラマです。
ドラマはエルザがやっと野生にもどっていく感動のシーンで終わるのですが、実はドラマには続きがあって(本によると)その監視官は最後エルザの子ライオンに殺されるのです。その衝撃の結末は子供心に自然界の不条理さと生きることの大変さを感じさせました。
アフリカには動物の原点がある。弱肉強食の世界を見てみたい。その思いはずっとあって、山に登るようになったらキリマンジャロがさらにアフリカへのあこがれを膨らませていきました。キリマンジェロは素人が登れる山の最高峰とだといいます。イッテQのイモトも最も美しい山に挙げていました。
いざ、アフリカへ!
成田からエチオピアまで15時間。エチオピアからタンザニアのキリマンジェロ空港まで2時間半。キリマンジェロ空港から1時間くらいバスに乗ってモシという町まで行きます。そしてモシから登山口までさらにバスで1時間。
登頂開始
スタート地点は1820mのマラングゲート。キリマンジェロに登るには必ずガイドをつけないとなりません。14人のグループとさらにコックとポーター総勢30名ほどの大所帯。各山小屋で料理をするための食器やガスコンロ鍋なども運び大名行列のようになるのかとおもいきや、ポーターたちは足が速くとっとと行くのでそうでもない。
お昼のランチボックス。りんご、バナナ、サンドウィッチ、キュウリにニンジン、フライドチキン、ヨーグルト、春巻きなど、私の好きなものばかりでついつい食べ過ぎ……弱った胃腸にダメージを……。そこからすっかり体調崩してしまいました。
下痢と嘔吐に苦しみ、早くも二日目で家に帰りたい病が! その後もずっと食欲不振が続きます……。
そんな時に思い出したのが、行きがけに会社でもらった磯部もち! これなら食べられる! そして、消えかかった会社の同僚からのメッセージを読み、このままでは帰れないと、気持ちをふるい起した。
高度をあげてくるにつれて植生が変わっていきます。
ホロンボハット(3720m)からキボハット(4702m)への道はほとんど荒野。そして担架を乗せた一輪車が4回ほど猛スピードで通りぬけていきビビる。あれだけには、乗りたくないなあ……と思う。
やっとここまで来た! キボハット4708m!
この日は17時ごろに夕飯を食べて仮眠をとります。そして22時に起きて23時には出発。
出発前の夜食は赤いきつね! 食欲不振で半分しか食べられませんでしたが、そのおいしいこと!!
円陣組んで気合いをいれて登り始めます。
暗闇のなか、現地ガイドさんが歌うアフリカの歌や賛美歌に合わせ皆のヘッドライドがゆらゆらゆれる。リズミカルで合いの手が入る音楽にアフリカ特有の空気を感じる。半分寝てたのか、それとも半分気を失いかけてたのか、歩いている横に山小屋とテラスがずらっと並んでる幻影が見えてました。(もちろん実際には何もない)
背後のマウエンジ峰から朝日が! 体が目覚めるのを感じます。
あと、もう一息っ!
5681mに到着!
やった~! ギルマンズポイント5681mに到着!! ガイドさんが涙してます……皆で抱き合い喜びを分かち合う。空気が薄いせいか高度が高いせいか宇宙にいるみたい……(と写真を見ながら思うがなんだか夢の中にいたような気がしてあまり覚えてないのですが)
ギルマンズポイントからも遠くに氷河が見えた。感激!
しばし景色に見とれるが、さらに上を目指す人と下山者に分かれてすぐに出発します。 ここまで来れると思わなかった私はすっかり満足して下山を選びました。
最高地点のウフルピーク(5895m)、次男よくがんばった!(ほんと青い地球にちょこんと座った感じですよね。)
下山開始。太陽が出てくると途端に暑くなって途中何度が吐きました (;´д`)=3
登山後は途中休憩いれながらも一気に3720mの山小屋まで降ります。緑が増えて酸素が増えると安心します! 緑の大事を身をもって感じる瞬間。
行き通った道なのに帰りは違う風景に見えた。
そしてやっと登山口に到着です! 帰ってきたぞ~!
登り終えて思うこと。
登頂した時は気持ち悪さが大きくて何かを感じる間もなかったけど、今思い出してみると夢のように楽しい時間でした。
最初はちょっと怖かったポーターさんたちも本当に優しくて、毎朝運んでくれる洗面器の温かいお湯と紅茶に生き返りました、道中話してくれる家族や生活の話はとても真面目さや愛情深さを感じました。最後の登りでは、自分のホッカロンを渡してくれたり私のだらだらな鼻水さえも、自分の手袋でふいてくれた。登頂させてくれようと皆が一生懸命なのが伝わってきてがんばれました。
こんな私が登れたのだから、誰でも登れるのだと思う。ただ、それをやろうとするかしないか……。
もしかしたら、それは何に関しても言えること?
そんなことに気がつかせてくれたキリマンジェロでした。