内田絵梨
2020年1月29日(水)にグッドクロスにて、第九回 五反田ふらっと夜セミナーを開催しました。
今回のセミナーのテーマは「能楽」。
日本人として一度は能を見てみたいけれど、難しそうだしハードルが高い……そう思っている方にぴったりの内容です。
能楽ワークショップへようこそ!
講師にお迎えしたのは能楽シテ方宝生流師範の紀井規子さんです。
シテとは能楽の主役のこと。そして、シテを演じるための訓練を専門的に積んでいる能楽師をシテ方と呼びます。
宝生流は、5つのあるシテ方の流派で2番目の規模を誇る流派のこと。
紀井先生の凛とした佇まいに一同惚れ惚れです。
今回のふらっと夜セミナーは、いつもと少し違って入場時に足袋を履きます。
履物が変わって、気持ちが引き締まったところでセミナー開始です。
まずは能楽とはなんぞや、という座学から始まります。
世界最古の演劇ともいわれる能の歴史や、舞台にまつわる話、謡や面についての話に皆さん興味津々。
実際に観てみたいという気持ちが高まっていきます。
そして、実際に能の所作や謡をやってみます。
能は型(演技技法)が決まっているので、いくつかのお約束を教えていただきます。
まずはカマエ。
膝を曲げて、上半身を起こし、重心を落とした基本姿勢に「き、きつい……」という呟きが……。
その状態でかかとを上げないすり足や、方向転換、泣きの所作「シオリ」などを教えてもらい挑戦しました。
短時間でしたが体幹が鍛えられるのが分かります。
今度は実際に面の視界を体感してみます。
若い女の面である「小面(こおもて)」と鬼面の「般若(はんにゃ)」を付け比べてみました。
思いの外暗く、視野が狭まって、周りが見えません。
舞台ではこれを付けて舞ったり、大立ち回りをすることを考えると怖いくらいです。
きっと徹底的な型が決まっているからこそできる芸当なのでしょう。
お次は謡の実践。
結婚式の祝言に謡われることもある「高砂」に挑戦します。
紀井先生に続いて大合唱。微妙な節回しや音の高低に大苦戦。
先生の声は流石の響きで、朗々としておりました。
最後は先生から「曲趣によって5つに分類される能を、まずは1種類ずつそれぞれ1回鑑賞してみてくださいね」とのお言葉をいただき、和やかにセミナーは終了したのでした。
次回は2020年2月26日(水)に「フルーツセミナー」を予定しております。乞うご期待☆
今回の講師紹介
紀井規子さん
1981年 能楽シテ方宝生流今井泰行師に師事 |