後藤 真理子
先日の会議にて、フィリピンでのバナナペーパー作りの参考として、まずは日本古来の和紙の製法を学ぼう、という話になりました。そこでさっそく研修として、東京都西多摩郡「日の出町(ひのでまち)」にある「ひので和紙」さんに、紙漉き(かみすき)体験に行ってきました。
紙の原料づくりを体験
ひので和紙では、紙を漉くだけでなく、その前の紙の原料づくりから体験できます。
使うのは、コウゾ(楮)というクワ科の植物。成長が早く、繊維が強くて長いため、古くから和紙の原料として使われているそう。ひので和紙の広い敷地内では、コウゾの栽培も行っています。
まずは、水に浸して柔らかくなったコウゾの木の皮を剥きます。
ていねいに白い繊維だけを残したら、最重要ポイント、木槌で叩く! トントントンとリズムよく叩くたびに、繊維がほぐれて短くなっていくのが分かります。
刃物で切るんじゃダメなの??との疑問には、カットしたりミキサーなどで粉砕すると、切断面が平らで繊維も短くなり、弱くもろい紙になってしまうとのこと。叩く工程が、和紙の強靭さを形作るそう。実際は人手で行っているわけではなくこの工程は機械化しているものの、「叩く」という点は変わらないそうです。
次に、井戸から汲んだ水の中でコウゾを丁寧にかき回して、繊維をほぐします。井戸水はとても冷たく汗が引くよう。繊維が綿のようにふわっと広がります。
多少大きめの繊維がのこることもありますが、それはそれで風合いですね!
最後にネリ(ノリのようなとろみのある材料)を入れてさらによく混ぜると、紙漉きの原料の出来上がり。
いよいよ紙漉き
いよいよ、紙漉きの工程です。
紙漉きというと簾(す)を張った木枠で紙の原料をすくい上げるイメージがありますが、ひので和紙では、水平に置かれた木枠にボウルを使って流し込みます。
勢いよく入れるのがポイント。波頭が立ち向こうの壁にぶつかって、ゆるやかに戻って全体に広がります。右から流したら今度は左から。ゆらめく水面を見ていると、邪念が消えて、心が落ち着きます。
これを好みの厚みになるまで繰り返します。
ポタポタと水分が下に落ちて、簾の上に、だんだん紙の姿が見えてきました。感動!
あとは乾くのを待つだけ。木枠から板へと移し替えて、お土産にいただきました!
繊維+ネリ
自然の素材に触れて紙を漉くという体験ができ、とても勉強になりました。
「繊維とネリがあれば紙はできる」とおっしゃるオーナーさんは、キャベツ(繊維)とオクラ(ネリ)で紙を作ったこともあるとか! 素材と作り方が本当にシンプルだからこそ、作り手の技術や長年で培われたコツが仕上がりに反映するのだと思います。
都心から片道1時間強の小旅行とはなりますが、小学生の夏休みの自由研究として親子で体験してみるのも非常に楽しいのではないでしょうか。オススメです!