内田絵梨
受験シーズンまっさかり!
合格祈願で神社に詣でた方も多いのではないでしょうか?
私も「ご利益にあずかりたい」と、受験のときは一心に祈ったものです。
当時、私が詣ったのは学問の神様として名高い菅原道真公を祀った天満宮なのですが、「道真公にあやかりたい」と多くの人が参拝していました。
さて、今回のお話は「あずかるとあやかるの違い」。
あずかるとは
あずかるは漢字で「与る」と書きます。
辞書ではこのようになっています。
あずか・る【与る】
[「預かる」と同源]
1. 物事に関係する。かかわる。関与する。
2. [「お…にあずかる」の形で]目上の人の行為や恩恵を受ける。
3. 分け前をもらう。
三省堂『大辞林』第三版より
同じ音の言葉に「預かる」がありますが、これは「保管すること。まかされること。保留にすること」が意味の根っこにあります。
対する「与る」は、「関与すること。受けること」が根っこです。
そのため、神仏からの恩恵を受けることを「ご利益にあずかる」と表現するのです。
あやかるとは
あやかるは漢字で「肖る」と書きます。
肖像画の「肖」と同じ時ですね。
どういった意味なのでしょうか?
あやか・る【肖る】
1. 好ましい状態にある人の影響が及んで、自分も同じような状態になる。
2. 物事に触発されて、動揺する。揺れ動く。
三省堂『大辞林』第三版より
今回、話題としているあやかるの意味は①の「好ましい状態にある人の影響が及んで、自分も同じような状態になる」ことです。「自分も同じ状態になること」は、言い換えると「似ること」ですよね。
そもそも「肖」の字は部首である「月(にくづき)」に「小」という漢字が乗っかって成り立っています。
つまり、他者と体が似ていて、小さいことを表わしている漢字なのです。そのため「肖」単体での漢字の意味は「似ていること。似せること」です。
肖像画も自分に似せて描いた絵であるために「肖像画」と呼ぶわけですね。
尊敬したり憧れているものについて、自分も同じようになりたいと願う気持ちを「あやかりたい」というのです。
いかがでしたか?
神仏の御力を与えてほしいと願う「あずかる」と、自分もそうなりたいと願う「あやかる」のご紹介でした。
おまけ
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この記事のようにより正確な言葉の使い方を意識し、日々受電・架電を行っています。
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参考:語彙力LAB