内田絵梨
先の見えない状況に何かと不便な日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
連日の新型コロナウイルスに関する報道で繰り返し耳にするようになった「重症」と「軽症」。
今回のお話はその違いについてです。
重症と軽症の違い
そもそも症状の程度というのはどのよに分類されるのでしょうか。
一つの指針として、総務省消防庁の「平成30年版 救急救助の現況」にはこのような記載があります。
傷病程度とは、救急隊が傷病者を医療機関に搬送し、初診時における医師の診断に基づき、次の5種類に分類している。傷病程度に基づく分類は次のとおりである。
(1) 死亡:初診時において死亡が確認されたものをいう。
(2) 重症(長期入院):傷病程度が3週間以上の入院加療を必要とするものをいう。
(3) 中等症(入院診療):傷病程度が重症または軽症以外のものをいう。
(4) 軽症(外来診療):傷病程度が入院加療を必要としないものをいう。
(5) その他:医師の診断がないもの及び傷病程度が判明しないもの、並びにその他
の場所に搬送したものをいう。
なお、傷病程度は入院加療の必要程度を基準に区分しているため、骨折等で入院の
必要はないが、通院による治療が必要な者は軽症として分類されている。
怪我や病気で救急搬送される人たちを「死亡」、「重症」、「中等症」、「軽症」、「その他」5つに分類していますね。
そして医師によって5つの内のどれに当てはまるかを診断されるのですが、その線引きとして入院の可否が大きな基準となっていることが分かります。
日常で生活をしていて、単なる風邪やインフルエンザで入院することはなかなかありません。
しかしながら、ひどい風邪やインフルエンザにかかったときの状態を思い返してみると、とても辛いものではないでしょうか。
熱や悪寒に襲われ、頭痛や咳などの症状に苦しめられ、這うようにして病院に行って、点滴を受けて帰宅しても「軽症」のくくりなのです。
新型コロナウイルスの場合は、治療法が確立していないことから軽症でも入院の措置がとられますが、「軽症」という響きだけで軽い症状であるととらえてはいけません。
そもそも厚生労働省が提示している新型コロナウイルスの感染が疑われる症状が以下の2点です。
・風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
想像するだけで、嫌になる症状ですよね。
そして実際に感染すると、発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさも伴うとか。
恐ろしいウイルスであることを再認識すると共に、予防に努めなくてはなりませんね。
重篤とは
ちなみに「重篤」という言葉もありますが、これは「非常に重く、生命に危険が及ぶ症状」と言い換えられるそうです。
位置付けとしては重症のさらに上。
治療をせずそのままにしておくと死んでしまう状態です。
そして「重篤」によく似た言葉で「危篤」という言葉がありますが、これは「今にも息を引き取りそうな状態」を指します。
「重篤」と「危篤」の違いは、回復が見込めると医師が判断するかしないか。
回復の見込みがあれば「重篤」、見込みがなければ「危篤」という分類です。
参考:総務省消防庁 平成30年版 救急救助の現況 / 厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) / 「病院の言葉」を分かりやすくする提案 / 終活ネット