内田絵梨
ビジネスシーンでよく使われる「了解」「承知」「了承」「承諾」ですが、その使い分けはどのように行っていますか?
似た意味合いを持つ漢字を組み合わせた熟語ですが、明確な違いはあるのでしょうか。
今回のお話は「了解」「承知」「了承」「承諾」の違いについてです。
辞書の記載
デジタル大辞泉を実際に引いてみると、それぞれこんな意味が記載されています。
りょう‐かい〔レウ‐|リヤウ‐〕【了解/×諒解】
1 物事の内容や事情を理解して承認すること。了承。「―が成り立つ」「来信の内容を―する」
2 《(ドイツ)Verstehen》ディルタイ哲学で、文化的、歴史的なものを生の表現とみなし、その生を追体験によって把握すること。理解。しょう‐ち【承知】
[名](スル)
1 事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。「無理を承知でお願いする」「君の言うことなど百も承知だ」「事の経緯を承知しておきたい」
2 依頼・要求などを聞き入れること。承諾。「申し出の件、確かに承知した」
3 相手の事情などを理解して許すこと。多く下に打消しの語を伴って用いる。「この次からは承知しないぞ」りょう‐しょう〔レウ‐|リヤウ‐〕【了承/×諒承/領承】
[名](スル)事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。「―を得る」「申し入れを―する」「―済み」しょう‐だく【承諾】 の解説
[名](スル)《古くは「じょうだく」》相手の意見・希望・要求などを聞いて、受け入れること。「上司の承諾を得る」「依頼を承諾する」
どうやら「物事を理解して認めること」は共通した意味合いであるようです。
了解と承知の違い
より深く言葉の意味を知るために、まずは「了解」と「承知」を比べてみましょう。
これら2つの違いは意味の重点をどこに置くか、です。
漢字を分解してみると「了解」の「了」は「理解すること」、「解」は「不明の点を分かるようにすること」という意味を持っています。
一方、「承知」の「承」は「受けて、それをいただくこと」、「知」は「理解すること」という意味を持っています。
この漢字の意味からも分かる通り、了解は「理解すること」に意味の重点が置かれており、承知は「相手の事情や依頼を受け止めて、理解すること」――つまり、「知ること・聞くこと」に重きを置いています。
また、ビジネスシーンにおいては「了解」は目上の人が目下の人に対して許可を与える際や、同じ立場の間柄で使われることが多くなっています。
そのため、「了解です」や「了解しました」という表現は日本語としては正しいのですが、人によっては失礼と感じることもあるようです。
一方の「承知」は目下の人が目上の人に対して使うことが多い表現です。
注意したいのが「承る」という漢字が使われているからといって、「承知」の単語自体に謙譲語の意味はないということです。
目上の人に対して使う際は「承知しました」ではなく、「承知いたしました」と表現する方が適切です。
了解と了承の違い
「了解」と「了承」は何が違うのでしょうか。
「了解」の意味は先ほども言ったように「理解すること」が語の核で、「了承」は「理解した上で、受け入れること」に重点が置かれます。
「了承」は「了解」と「承知」が合わさった語と言えるかもしれません。
「内容を把握した上で、そのことを受容する」ニュアンスが強くなるため、相手に理解を求め受け入れてもらう際に「了承」という言葉を使います。
・何卒、ご了承ください
・社長の了承を得る
以上のような文章では「了解」を使うと不自然です。
承知と承諾の違い
「承知」と「承諾」は何が違うのでしょうか。
「承諾」の漢字を分解すると、「承」は「受けて、それをいただくこと」、「諾」は「こたえること」「聞き入れること」という意味です。
「承知」が「知ること・聞くこと」に重きを置いているのに対し、「承諾」は「聞いた上で、責任をもって受け入れること・保証すること」にまで意味が及んでいます。
そのため「承諾」は、会社同士が契約を結ぶ際などに使われることが多いです。
いかがでしたか。
あえて熟語を比較することで、意味の違いが明確になったのではないでしょうか。
なんとなく使っていた単語もより深く知ることで、より適切な場面で適切な表現を選び取るヒントになるはずです。
おまけ
当社はbeecallというコールセンターも運用しており、24時間365日対応しています。
この記事のように言葉に向き合い、丁寧な対応を心掛けて日々受電・架電を行っています。
ご興味のある方はぜひ、beecallのサイトもご覧ください。
参考:新漢語林(大修館書店) /
TRANS.BIS(「承知」と「了解」の違いとは?ビジネスでの使い分けと類語も解説) / 社会人の教科書(了解・了承・承知・承諾の違い) / 違いが分かる辞典(「了解」「了承」「承知」「承諾」)