植村明美
シーン1
「あれ? きみのところの展示会、明日からだっけ?」
「はい! そうです」
「そうか。都合がついたら行かせてもらうよ」
「よろしければ、是非! お待ちしております」
シーン2
「お客様~、今日は滅多に入らない日本酒が入ってるんですが如何ですか~?」
「おっ、いいねえ。どうしようかなあ。ちょっと高いけど飲んじゃおうかなあ」
「はい! よろしければ、是非!」
こんな会話をしたことがありませんか?
「よろしければ是非」
わたしは、以前はよく使っていました。が、あるとき何ともいえない違和感を感じてから使えなくなってしまいました。
この言い方は、何故違和感を感じるのか。
正しい使い方なのか否か。
調べてみました。
是非
まずは「是非」という言葉について説明します。
是非は用い方により、「名詞」「動詞」「副詞」となります。
名詞では「正しいことと正しくないこと。物事の良しあしを論じること。良いことと悪いこと」を指す言葉です。
動詞では「是非~する」というサ行変格活用で用いられます。
また、副詞では「物事の実現、実行を強く希望するサマ」となります。
心をこめて、強く願うさま。でもあります。
よろしければ
「よろしければ」は、相手の意思を尊重し、相手の意向をお伺いをたてることばであります。
あくまでも意思の決定権は相手側にある言葉です。
一方、「是非」は実現を強く望む気持ちであり、こちらは自分の意思を強く通す自分が分が主体となっています。
「よろしければ是非」が言葉としておかしい理由は、ひとつづきの言葉の中に、相手の意思を尊重する言い方と自分中心で決定権は相手になく、自分を主体とする考えとが並列されているところにあるとわかりました。
「あなたがいいようにしてね、私は絶対にそうさせるつもりだけれど」という遣い方であるとすれば、良い人の仮面を被りながら実は思うままにしようとしているみたいで、ちょっと恐ろしいですものね。
出展
goo漢字辞書
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%98%AF%E9%9D%9E/
小学館デジタル大辞泉
さいごに
私達グッドクロスが運営する言葉を大切にするコールセンターです