植村明美
とても気温の低いある日、空から何かぱらぱらと降ってきたものがあり、「あら、雪降ってきた!」と思っていたら、とても小さな粒が、ピンポン玉のように跳ねているのが見えました。
目が悪いので、しゃがみ込んで暫く観察していましたが、何せ雪も頻繁に見たことがないので、雪なのか別のものかの区別もすぐにつきません。
けれど、粒がまんまるくて、やはり地面に落ちた時に雪のように静かに降りて重なっていくのではなく、溶けるのでもなく、弾けているのを見て、やはりこれは雪ではないし、かといって、ヒョウでもない。
ということは、これが「霰(アラレ)」というものかしら? と思うに至り、えらく感激いたしました。
では、見た目や経験で判断するのではなく雪と霰(アラレ)、雹(ヒョウ)そして霙(ミゾレ)はどう違うのか調べてみました。
雪
雪は大気の中の塵(ちり)やホコリを核として、その周りに水蒸気がくっつき、それが凍って氷になることでできます。
こうしてできた氷の周りに更に水蒸気がくっつき、凍り、というのを繰り返して成長し、雪の結晶となります。
この結晶が落ちてくるとき、上空よりも地表に近い方が気温が高いため、その途中で溶けたものが雨で、溶けずにそのまま降ってきたものが雪ということです。
地上付近で雪になるか雨になるかは、色々な条件がありますが、気温でみると2~3℃前後が境目と言われています。
そして、漢字で見ると雪は「雨」冠に「ヨ」。
「ヨ」の部分はもともとは「彗」という字でした。
「雪」の字の成り立ちは諸説あり、「ホウキで掃ける雨」だからという説や「ホウキで清めたように清らかなものだから」という説があるようです。
霰(アラレ)
霰(アラレ)は、直径が2~5mm程の氷の粒です。
上空から落ちてきた雪の結晶が上昇気流でまた押し上げられて、温度の低いところにいき、落下していくとまた上昇気流で上に押し上げられ、ということを何度も繰り返していくとたくさんの水の粒が凍りついてそれが降ってきたものが霰(アラレ)です。
霰(アラレ)の周囲は凍りついた水なので、もはや雪の結晶は顕微鏡などで見ても見えないそうです。
「霰」という漢字は、降り落ちるときに、ぱらぱらと散る様子を表した文字です。
雹(ヒョウ)
雹(ヒョウ)は、前項の霰(アラレ)と成りたちは同じで、降ってきたときの粒の大きさで、直径が5mm以上のものを雹(ヒョウ)と呼んで分けています。
雹(ヒョウ)は発達した積乱雲の中で氷の粒に、水の粒がついたものが下からの上昇気流で上に行ったり下に行ったりしてどんどん大きくなっていきます。
大きくなったものは下から押し上げられてくる気流にも耐えられなくなり、落下していくのですが、その途中溶けずに氷のままで落下したり、落下の途中で更に大きくなったりするのが雹(ヒョウ)です。
時々、ピンポン玉のようなものが降って来る様子をニュース映像などで見ますが、あれに遭遇したらたまりませんね。
雹(ヒョウ)という漢字のつくりは美しく、氷を水が包んでいるから「雨」に「包」で雹(ヒョウ)となるそうです。
霙(ミゾレ)
雪が地上に降ってくるときに、地上付近の温度が高いと雨になるのですが、一部溶けずに残って降ると、雪まじりの雨、雨まじりの雪、ということになります。
これを霙(ミゾレ)といいます。
沖縄では雪は降ったことがないようですが、霙(ミゾレ)は観測されているようです。
霙(ミゾレ)という漢字は「雨」に「英」。
これは「英」を「ハナ」と読み、「ハナのように美しいから」とか、「雨と雪が混じり合い、花のようだから」という意味があるそうです。
出典