植村明美
梅雨明けが発表されました。
梅雨は終わりましたが、ゲリラ豪雨など集中的な大雨が降ることはこれからも起きそうです。
「線状降水帯」
最近急にこの言葉を頻繁に聞くようになりましたが、一体何のことなのでしょう。
線状降水帯は近年突然現れたものではなく、以前から発生しているものではありましたが、予測が非常に困難であり、予測し発表することはしていませんでした。
しかし、短時間で記録的な豪雨をもたらす元となる「線状降水帯」が「発生」したことを発表することで、短時間ではありますが、洪水や土砂災害の危険を回避するための呼びかけができることなどから、気象庁は今年夏より顕著な大雨に関する情報を発表する際、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている時には、「線状降水帯」というキーワードを使って解説することとなったのです。
気象庁はこの「線状降水帯」により大雨がもたらされ、土砂災害や洪水の危険性が急激に高まった場合に出される「顕著な大雨に関する情報」の運用を2021年6月17日に開始しました。
そのため、ここ最近、急にこの言葉を聞く機会が増えたというわけです。
以前は、テレビの天気予報などでは「湿った空気」などと表現されていました。
ではこの線状降水帯とはどんなものなのでしょうか。
気象庁の該当ページを見ると次のように記載されています。
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域を線状降水帯といいます。
※ 「線状降水帯」というキーワードを使って解説する「顕著な大雨に関する情報」は次の基準により発表する。
- 解析雨量(5kmメッシュ)において前3時間積算降水量が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
- 1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
- 1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
- 1.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過
なるほど、夕立のような雨をもたらす雲は点のイメージだとすると、ピンポイントではなく、豪雨をもたらす雨雲が点が集まって線となり、後からあとから絶え間なくやってくるのが「線状降水帯」でしょうか。
ただ、現在もまだ発生メカニズムに未解明な点も多く、今後も継続的な研究が必要ということで、現段階では予報、予測ではなく発生してからの発表ということになっています。
また、海上での観察が不可欠ということから、東シナ海に観測船2隻を派遣させ、予測に生かすことになっているそうです。
毎年のように線状降水帯による顕著な大雨が発生し、数多くの甚大な災害が生じています。
予報の技術は上がっていますが、完全なものではありませんし、時には自分や家族の身を守る判断を迫られることもあるでしょう。
次の記事では、収集する情報のひとつとして「キキクル」をご紹介します。
出典:気象庁
雨に関する用語
顕著な大雨に関する情報