内田絵梨
お正月が終わるとスーパーなどで予約が始まる恵方巻。
今では節分に食べるものとしてお馴染みとなっていますが、急速に広まった比較的最近のことです。
今回はそんな恵方巻について調べてみました。
恵方巻の由来
恵方巻は大阪発祥の風習といわれていますが、その起源は実はよくわかっていません。
江戸時代から明治時代に始まったとされ、花街で商人や芸子たちが芸遊びをしながら商売繁盛を祈り、食べたという説がよく知られています。
大阪・心斎橋にあった、江戸時代末期(文政12年、1829年)創業の本福寿司では昭和7年(1932年)に「その年の恵方に向いて無言で壱本の巻壽司を丸かぶりすれば其年は幸運に惠まれると云う事であります」と書かれたチラシを発行していました。
このことから分かるのは、当時は「恵方巻」という名前でなかったということです。
では、恵方巻という名前はどこで名付けられたのでしょうか。
恵方巻の名前はどこからきた?
恵方巻という名前が付けられたのは平成元年(1989年)のこと。
元々、関西で節分の日に食べられていた巻き寿司を「縁起のいい風習」として紹介・売り出すために「恵方巻」と名付けて、広島県内のセブンイレブンで販売したのが始まりです。
その後、平成7年(1995年)には関西以西の地区で、平成10年(1998年)には全国で販売されるようになりました。
恵方巻の食べ方
恵方巻は縁起を担いだ食べ物なので、いくつかのルールが存在します。
・7種類の具材が入った太巻き一人につき丸ごと一本食べる
・その年に決められた方角(恵方)を向いて食べる
・食べ終わるまでは一言もしゃべらない
これらのルールを願い事をしながら残さず食べきると願いが叶うとされています。
なお、7種類の具材は七福神にあやかって。
食べるのが巻き寿司であるのは福を巻き込むように。
まるごと一本なのは良縁を切らないように。
食べ終わるまで無言でいるのは福が口から逃げないように、という意味が込められています。
恵方の決め方
恵方はどのように決まっているかというと、陰陽道でその年の福徳を司る神様である歳徳神(とくとくじん)がいる方角です。
歳徳神はお正月にお迎えする歳神様のことですね。
その年の十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)に従って毎年変わるので、注意が必要です。
十干 | 恵方(16方位) | 恵方(24方位) |
甲(きのえ)・己(つちのと) | 東北東 | 甲 |
乙(きのと)・庚(かのえ) | 西南西 | 庚 |
丙(ひのえ)・辛(かのと) | 南南東(16方位) | 丙 |
丁(ひのと)・壬(みずのえ) | 北北西 | 壬 |
戊(つちのえ)・癸(みずのと) | 南南東 | 丙 |
本来の恵方は24方位で表すのですが、現代に生きる私たちには馴染みがないため、16方位になおして紹介されることが多いです。
その場合、7.5°ほどのずれが生じます。
誤差の範囲内かとは思うので、あまり気にしなくてよいでしょう。
2022年の十干十二支は壬寅(みずのえとら)なので、恵方は北北西となります。
参考:伝統の関西鮓・本物の鮓 大阪の鮓 / これが知りたい!気になる情報局(恵方巻きの方角の決め方とは?今年の節分はこの恵方!) / Blue Signal(2020 vol.188 January 1月号 ハレの日の食膳 恵方巻)