内田絵梨
2022年2月4日は立春です。
立春は暦の上で春が始まる日。節分の翌日を指します。
そのため立春には、前の晩(節分)に豆をまいて厄を祓った後の、福を呼び込む風習がいくつかあります。
今日はそのうちの一つである「朝生菓子」の、とりわけうぐいす餅についてお話しします。
朝生菓子とは
朝生菓子とは作ったその日に食べてしまわなけらばならない和菓子です。
その中でも立春の朝に作られた朝生菓子は「立春朝生菓子」と言われ、その日のうちに食べると大変縁起がよいとされています。
代表的なものは桜餅やうぐいす餅です。
どちらも春を感じる和菓子ですね。
うぐいす餅の由来
うぐいすといえば「ホーホケキョ」の鳴き声でおなじみです。
早春に他の鳥に先駆けて囀りはじめるので「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれます。
和菓子のうぐいす餅はこの鳥を模したもので、餅の両端をとがらせ、緑のきな粉(うぐいす粉)をまぶした様はうぐいすに見えなくもない。なんとも雅な名付けです。
さて、このうぐいす餅の名付けを豊臣秀吉が行ったという逸話があります。
豊臣秀吉の弟・秀長が、兄・秀吉をもてなす茶会を開いた際に御用菓子司の菊屋治兵衛に餅菓子を献上させました。
秀吉は供された餅菓子を気に入り、うぐいす餅と命名したといわれています。
当時はうぐいす粉ではなくきな粉で作られていたことから、より本物のうぐいすに近い色味だったとか。
昔からの作り方に倣って、うぐいす粉ではなくきな粉をまぶす和菓子屋も多くあります。
うぐいす色とは
突然ですが問題です。
上の2つの写真のうちどちらがうぐいすでしょうか。
正解は右です。
うぐいすというと鮮やかな緑色の鳥を想像する人もいるかもしれませんが、実際のうぐいすは暗くくすんで茶色がかった緑色です。
実際のうぐいす色も、このうぐいすの羽の色を指すのですが、なぜか左の写真のめじろのような緑のことだと思っている人が少なくありません。
グリンピースで作った餡子である「うぐいす餡」や、青大豆から作ったきな粉である「うぐいす粉」が美しい緑色のため、そのイメージに引っ張られてうぐいす色自体も鮮やかな緑だと誤解してしまうのかもしれないですね。
参考:本家菊屋(本家菊屋の歴史) / きょうの和菓子の玉手箱(月刊京都連載 和菓子歳時記) / 全国和菓子協会(第2章 和菓子の味わい)