北京のオリンピックが始まりました。

コロナ禍であり、また国際情勢などの影響もあってか今一つ盛り上がりに欠けているようにも思えましたが、やはり始まると放送に釘付けになってしまいます。

そんな中、日本に24年ぶりに金メダルをもたらしたスキージャンプノーマルヒルを見ていて、思いました。

解説者「テレマークもきちんとできてましたね」。

思えば生まれ変わる札幌の地で開催された札幌オリンピックの笠谷選手も、リレハンメルで失速し、その後長野であの大感動の団体金をもたらした原田の大ジャンプも、リアルタイムで見てきたウエムラですが、「テレマーク」が何なのかも知らないでこれまでジャンプ競技を見ていました。

そういえば、前日の女子のジャンプでは、あんなに美しく飛んでいたにも関わらず、高橋選手の飛型点が伸びなかったのはテレマークでマイナスとなったと聞きました。

テレワーク、じゃない「テレマーク」とは一体なんなんでしょうか。

その前に、ざっとジャンプ競技の採点ルールを確認しておきましょう。

スキージャンプは飛んだ距離でつけられる飛距離点と、ジャンプしている間と着地の姿勢で点数をつける飛型点とを合わせて点数が決まります。

公式の試合では1人2回のジャンプの機会が与えられており、その合計点で順位がつけられます。

更に、風の状態など自然条件が多いに関係してくる（ジャンプ競技では浮力のつく向かい風の方が有利）ため、向かい風が大きいと、マイナスポイントをつけるなどして公平性を保っています。

また、1回ごとに滑走をスタートするゲートの位置も変えているので、位置が長いと当然有利になるため、ポイントはマイナスされます。

飛距離の計算はK点を基準とし、K点を60ポイントとして超えれば加算、手前で着地すればマイナスとなります。

飛型点は20点を満点として、飛行中の姿勢、着地それぞれで減点方式でジャッジする。

着地では転倒は最大のマイナス、テレマークが入っていないとマイナス、テレマークしても不安定だとマイナス、となってしまいます。

転倒は転倒ラインというのがあり、その手前で転倒するとマイナス、超えてからであれば点数に影響ありません。

テレマークとは何？

では、飛型点のジャッジにも大きく影響するテレマークというのは、何なのでしょうか。

テレマークの語源には諸説ありますが、ノルウェーのテレマルク地方の少年たちがスキーをする際にとっていたポーズともいわれていて、スキーという競技が始まった頃に取られていたスキーを前後にずらし、深くひざを曲げる姿勢といわれています。

また、この頃に発祥したクロスカントリーの一種でスキー靴の踵を固定しないスキーのスタイルを指す場合もあります。

現在ジャンプ競技で使われるテレマークとは、着地の際に要求される型のことで、両手を水平に広げ、利き足を後ろにずらし、深くひざを曲げる姿勢をとることをいいます。

K点とは？

また、よく聞かれるＫ点ですが、これは飛距離の基準になっているとはいいますが、元々はこれ以上飛んだら危険というライン、ドイツ語のKonstruktions Punktからきています。

Konstruktions Punktとは建築基準点のことで、ここからはジャンプ台の傾斜曲率が変わるため危険とされており、極限点という意味合いがありました。

しかし、その後用具やジャンプの技術の進歩によりK点越えの選手が続出。

国際スキー連盟（FIS）は2004年にルールを変更し、現在はこのK点は極限点ではなく、基準点という位置づけになり、安全に飛べる距離の目安としてヒルサイズが導入されました。

K点は、ノーマルヒルが90m、ラージヒルが120mで、最初に言いましたようにこれが基準点となり、これより遠くまで飛べると飛距離の点数が加算されていきます。

また、現在はこのK点を越えても安定した着地ができるように設計されています。

ただし、K点を大きく超えて飛ぶ選手が連続すると、スタートのバーの位置を下げて滑走の距離を短くするなどの措置が取られることもあるようです。

その他、スキー板、スーツ、ヘルメットにも細かな規定があります。

また、スタート時のゲートに入ってから選手は10秒以内にスタートしなくてはならない決まりがありますが、10秒ぎりぎりまで自分に有利な風に変わるのを待てるということでもあります。

さて、ルールがわからなくとも見ていて圧倒的な迫力を感じる競技、スキージャンプですが、ざっとルールも頭に入れたことですし、団体戦や男子ラージヒルなど残りの競技を一層楽しみたいですね。