TOP / 言葉 2022.06.01

鮭の読み方は「サケ」? 「シャケ」?

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鮭

おにぎりの具でも定番の「鮭」。
「サケ」とも「シャケ」とも呼びますが、一体どちらが正しいのでしょうか。
今回は「鮭」の読み方と歴史についてのお話しです。

シャケの読み方

「鮭」は昔から「サケ」と「シャケ」、両方の読み方がされてきました。
1867年(慶応3年)に出版された『和英語林集成』という和英辞典には、SAKE(サケ)とSHAKE(シャケ)と、両方が載っています。
NHKの文化放送研究所によると、放送のことばについて議論する放送用語委員会でも「鮭」の読み方は議題に上がり、最終的に「サケを基本とするがシャケでも可」ということになったそうです。
どちらも正しい読み方なのですね。

また、「生き物」として呼ぶか、「食材」として呼ぶかによっても使い分ける傾向があるのだとか。
確かに「鮭の遡上」は「サケのそじょう」と呼びますし、「鮭の切り身」は「シャケのきりみ」の方がしっくりくる気もします。
「牛」を「うし」と読むか「ぎゅう」と読むかの違いと同じですね。

「鮭」の語源はアイヌ語?

「鮭」の語源として有力なのがアイヌ語由来であるという説です。

今でも鮭は北海道を代表する魚ですが、アイヌの人々にとって「魚」といえば、鮭と鱒(ます)でありとても大切な食料でした。
鮭はアイヌ語で「チェプ」といい、これは「われわれの食べ物」という意味を持っています。
いわば鮭は主食だったのです。
一方の鱒はアイヌ語で「サキペ」「サクイベ」「シャケンベ」といい、これは「夏の食べ物」という意味。
鮭が秋に川を遡ってくるのに対し、鱒は夏に遡上することからこの名前が付けられたと予想されます。

さて、この「サキペ」「サクイベ」「シャケンベ」が、鮭を「サケ」や「シャケ」と呼ぶ由来となったとされています。
たしかに音が似ていますね。

江戸時代、松前藩とアイヌとは交易を行っていました。
アイヌからは魚や毛皮が。
松前藩からは鉄器や漆器、米やお茶、お酒などの嗜好品が持ち寄られ、物々交換していたのです。
そこで本来であれば鱒を意味していた「サキペ」「サクイベ」「シャケンベ」が、鮭を名付けるきっかけになったとしても不思議ではありません。
実に興味深い説ですね。

 

参考:ウェザーニュース(鮭の呼び名は「シャケ」?「サケ」?) / NHK放送文化研究所(サケ? シャケ?) / 語源由来辞典 / 森宏太郎 「さけ・ます」のアイヌ名とそれにちなむ地名について(参照2022年5月31日)

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