内田絵梨
2月4日に立春を迎え、暦の上では春になりました。
まだまだ寒い日は続きますが、花粉を感じて春の訪れを感じている人も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは「温かい」と「暖かい」の使い分けです。
あたたかいの意味
まずは辞書で意味をみてみましょう。
小学館のデジタル大辞泉にはこのように載っています。
あたたか・い【暖かい/温かい】 の解説
[形][文]あたたか・し[ク]《形容動詞「あたたか」の形容詞化》
1 (暖かい)寒すぎもせず、暑すぎもせず、程よい気温である。あったかい。「—・い部屋」「—・い地方」《季 春》「—・きドアの出入となりにけり/万太郎」
2 (温かい)物が冷たくなく、また熱すぎもせず、程よい状態である。「—・い御飯」
3 (温かい)思いやりがある。いたわりの心がある。「—・くもてなす」⇔冷たい。
4 (暖かい)金銭が十分にある。「今日は懐が—・い」⇔寒い。
5 (暖かい)色感がやわらかく、冷たい感じがしない。「—・い色調の壁紙」
[補説]気温のようにからだ全体で感じるあたたかさに、「寒い」に対して「暖かい」、部分で感じたり心で感じたりするあたたかさに、「冷たい」に対して「温かい」と書くのが普通。
(引用:デジタル大辞泉)
補足を見ると反対語を意識すると使い分けがしやすいことがわかります。
「温かい」の反対語は「冷たい」。
「暖かい」の反対語は「寒い」。
からだの一部や心で感じたりするあたたかさは「温かい」。
からだ全体で感じるあたたかさは「暖かい」。
実際の使い分け
使い分けの基準が分かったところで実際の使い分けをみていきましょう。
懐があたたかい
慣用句として所持金がたっぷりあることを指しますが、「懐」とはからだの一部なので「温かい」が正解でしょうか?
いえいえ、懐があたたかいの反対は「懐が寒い」。
つまり、「暖かい」が正解です。
あたたかい眼差し
あたたかい眼差しの反対は「冷たい眼差し」。
つまり「温かい」が正解です。
あたたかい色
色については「暖色」や「寒色」というように「暖かい」が正解です。
目を通してからだ全体があたたまるような色合い、ということですね。
あたたかい服装
格好についてはどうでしょうか。
反対は「寒い服装」。つまりこれは「暖かい」が正解。
からだ全体をあたためる服なので「暖かい」が使われます。
あたたかいお風呂 / あたたかいお風呂場
あたたかいお風呂の反対は「冷たいお風呂」。
これは「温かい」が正解。
しかしながらこれがお風呂場となるとどうでしょうか。
反対は「冷たいお風呂場」。
つまり「暖かいお風呂場」が正解になります。
こうして例を挙げてみてみると、私たちは「冷たい」と「寒い」は自然と使い分けていることが分かります。
「温かい」と「暖かい」で迷ったときは、反対語を意識すると正解がわかりやすいですよ。
参考:NHK放送文化研究所(「温かい?暖かい?」) / 違いがわかる辞典(「暖かい」と「温かい」) / マイナビニュース(「暖かい」と「温かい」の違いとは? 服・心・飲み物・部屋はどっちの漢字?)