内田絵梨
2024年は1年が366日あるうるう年です。
通常は28日で終わる2月が、うるう年は29日となります。
そもそもなぜ2月は他の月より日数が少ないのでしょうか。
通常は365日の1年。単純に12ヵ月で割って、30日と31日の月のみで調整するのではだめだったのでしょうか。
その謎に迫ります。
「うるう年」を2月で調整をする理由
我々が現在使っている暦は古代ローマの暦が基になっています。
最初のローマ歴が採用されたのは紀元前8世紀の頃。
この暦はローマを建国したとされる王ロームルスの名前からとり、「ロムルス歴」と呼ばれます。
ロムルス歴は30日もしくは31日からなる月が10個あり、現在の3月から始まって12月で終わっていました。
現在の1月と2月がないのは、農耕暦だったので、畑仕事のない季節には日付が必要なかったためとされています。
当時のローマでは1年の長さが約365日であることは知られていなかったため、春めいてきた日に王が新年を宣言して暦が始まっていました。
次に採用されたローマ歴は「ヌマ暦」。
古代ローマ王ヌマ・ポンピウリスが制定したとされています。
ここで現在の1月と2月にあたるIanuariusとFebruariusという月が付け加えられました。
日数はロムルス暦で30日だった月をすべて29日に変えました。
当時のローマ人は偶数を不吉な数字と考えていたためです。
しかしながら年末――現在の2月――にあたるFebruariusは例外で、28日しかありませんでした。
Februariusは払いや清めの月であるため、不吉な数でも良いとされていたようです。
年末に払いや清めの習慣があるというのは、日本の師走の大掃除に似ていて面白いですね。
さて、ヌマ暦は1年が355日とされていたので、およそ2年に一度「うるう日」ならぬ27日間の「うるう月」がありました。
調整の際には、Februariusを23日か24日として、その翌日から27日のうるう月を入れていたというのですから、偶数を極力避けていただことが分かりますね。
とても工夫が凝らされたヌマ暦ですが、やがて時代と共に機能しなくなり、ユリウス・カエサルの時代には実際の日付と季節が2ヶ月ほどずれるという事態が起こっていました。
そこで登場するのが「ユリウス暦」です。
紀元前14年から使われだしたこの暦は、1年を365日とし、4年に一度366日となるようにうるう年を設けるといったものです。
また、1年の始まりを現在の1月にあたるIanuariusと定めたのもこの暦です。
しかしながら、Februariusが「年末」という意識は根強く残っていたため、Februariusをうるう年の調整に使うことにしました。
当時は祭礼の日付変更を避けるために2月24日を2回繰り返していたそうです。
その名残りで、今でもうるう年の調整は2月に行われ、4年に1度2月29日が巡ってくるのです。
参考:国立天文台(どうして2月だけ28日しかなくて、日数が変わるの?) / Yahoo! Japanニュース(今年は366日ある「うるう年」なぜ2月は28日しかないの? “4年に1度”やってくる意味)