内田絵梨
激しい語気の声を出すことを「声を荒らげる」と言います。
皆様はこれをどう読みますか?
声を荒らげる
伝統的な読み方としては「声を荒らげる」は「声をあららげる」と読むのが正解です。
しかしながら「声をあらげる」と読んでしまった人も多いのではないでしょうか。
NHKが平成3年(1991年)に行った全国調査では「あららげる」と答えた人が19%であったのに対して、「あらげる」と答えた人が77%にのぼりました。
また文化庁では平成22年度と令和3年度の「国語に関する世論調査」で「荒らげる」の読み方調査を行っており、平成22年度の調査では「あららげる」と答えた人が11.4%、「あらげる」と答えた人が79.9%、「両方とも使う」と答えた人が2.7%、「どちらも使わない」と答えた人が5.1%、「分からない」と答えた人が1.0%という結果に。
令和3年度の調査では「あららげる」と答えた人が12.2%、「あらげる」と答えた人が79.7%、「両方とも使う」と答えた人が3.4%、「どちらも使わない」と答えた人が4.0%、「無回答」が0.8%という結果になっています。
この「国語に関する世論調査」の結果で興味深いのは、世代によって読み方のパーセンテージの差があまり見られなかったことです。
若い世代ほど「あらげる」と使っているのではなく、世代を問わず「あらげる」と答えた人が多かったのです。
新聞社などの多くは「あららげる」という読み方のみを認め、「あらげる」は俗な読み方としていますが、NHKでは「あららげる」も「あらげる」もどちらも認めて放送しています。
「あららげる」よりも「あらげる」のようが言いやすいことや、「荒らげる」と書いて「荒(あ)らげる」と読むという勘違いが引き起こした読み間違いを生んだと考えられますが、これだけ一般に浸透していることから、いつの日か「あらげる」を正しい使い方であるとする辞書が発行されるかもしれませんね。