内田絵梨
6月も近付き、雨が降ることも多くなってきました。
外出時に傘を持っていくかどうか悩むこともしばしばです。
さて、「雨模様」という言葉を聞いて、空はどんな状態であると想像しますか。
雨模様の意味
雨模様の語源は「雨催い(あまもよい)」です。
「催い」は「そのきざしが見えること」。
つまり、雨模様はは本来「今にも雨が降りそうな状態」を指します。
そのためこの表現を使う時にはまだ雨は降っていません。
しかしながら、近年では雨が降っている時に使うケースが見られるようになってきました。
文化庁が行った令和4年度の「国語に関する世論調査」では次のような結果が報告されています。
雨模様 例文:外は雨模様だ 令和4年度 平成22年度 平成15年度 (ア)雨が降りそうな様子 37.1 43.3 38.0 (イ)小雨が降ったりやんだりしている様子 49.4 47.5 45.2 (ア)と(イ)の両方 8.4 4.8 9.4 (ア)、(イ)とは、全く別の意味 3.5 3.2 6.3 無回答 1.5 – – 分からない – 1.2 1.1 引用:令和4年度の「国語に関する世論調査」より
また年齢別の回答は次のような結果となっています。
引用:令和4年度の「国語に関する世論調査」より
30代から60代では本来の意味とは異なる意味で「雨模様」を認識している人が多いようです。
また、本来の意味で「雨模様」を捉えている人が最も多い世代が16~19歳。
次いで多いのが70歳以上。
若さに比例して日本語の意味が変化しているわけではないようであるのが興味深いです。
放送の世界の雨模様
雨模様の本来の意味は「今にも雨が降りそうな状態」ですが、実際にはテレビなどで雨が降っているときに「雨模様」という言葉が使われることがあります。
これは地域や時間帯によって雨が降っていたり降らなかったりする状態を時間的・空間的に表す際に「模様」という言葉が便利であるためです。
近年では一部の辞書で「雨が降っているらしい様子」の意味が掲載されるようになりました。
私が確認した限りだと、現段階ではどの辞書も「雨が降りそうな空の状態」が本来の意味で、「降っているらしい様子」は新しい意味であるという補足説明が書かれています。
また、意味があいまいで解釈が分かれる表現となってしまったため、天気予報では使用が避けられているようです。
おまけ
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この記事のようにより正確な言葉の使い方を意識し、日々受電・架電を行っています。
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参考:令和4年度「国語に関する世論調査」の結果について(文化庁) / 「雨模様になる」は正しい?(NHK放送文化研究所)